幼馴染は実力派【ハイキュー!!】【音駒】

10 ページ12

二口side





「っしゃあ！！」


「ナイスブロック！！」






２本目、ストレートに打ち込まれたスパイクは

黄金川の右手で弾いた。






『ちぇ。』






今の自信あったのに、と呟くコイツの声を聞いて

黄金川は密かにガッツポーズを決めていた。






何か、嘘くさい？





深く考える間も無く

水瀬はまた前傾姿勢、左手の指先は床、という

独自のフォームで構える。






アレであんなに走れて跳べんのかよ……

まじ何者なの？





「いきまーす。」


『お願いしまーす！』





パンタロンのトスに走り出した水瀬は

力強い跳躍でボールに並ぶ。






よく見ろ、水瀬の視線はどこを向いてる？

ストレートは止められた。再度打つ確率は低い。






ちらりと横に揺れる視線。

インナーか。





青根や黄金川も気付いたのか

いつも通り、素早く内側を締める。





『ありがとうございまぁす！！』


「なっ……！？」





水瀬は左腕(・・)を振り上げる。






「っそだろ……！！」






ドン、と重たい音がして

ボールは黄金川の脇を通り抜け床に落ちる。





『っしゃ！！』


「左でも打てんのかよ……！！
打ち変え速すぎんだろ……ｯ」





水瀬は左拳を突き上げて屈託なく笑う。





鉄壁を誇る俺らとしては、

決められてとんでもなく悔しいしムカつくけど

どこか憎めない笑顔だった。





『ｯは〜！手のひら痛った！！！』←


「水瀬、あの視線もフェイントかよ？」


『あ、やっぱり視線見て読んだんだね？
もちろん演出(フェイント)だよ。』





そう言って水瀬は転がってきたボールを拾い上げ

手の上で転がしていく。

ボールはまるで生きてるみたいに動いた。





『やったの久しぶりだから出来て良かったよ。』


「久しぶりとかムカつくわ……」





ボールがあんな風に動くのは

水瀬の異常に柔かい関節があってこそみたいだな。

手首の角度とか気持ち悪い。←





『そうだ、追分監督！
貴重な体験をさせて貰ってありがとうございます。
凄く楽しかったです。』


「やっぱり流石だな水瀬さん。
"曲芸師"らしいプレーだったよ。」






曲芸師……！？

詳しくは知らないけど

女子最強とか何とかって聞いた事ある気が……






……でも監督と談笑する水瀬は

どこかで見た事あるような気もする。






- - - - - - - - - - - - - - -

今さらなんですけど

二口君の口調がとんでもなく迷子です。

11→←9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す