ちゃんと【ハイキュー!!】【北信介】

４月 ページ6

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「……今日は居らんな。」





北はいつの間にか居るのが当たり前になっていた

Aの姿を探す。





「まあ……そんな日もあるわな。」





恒例になっている

祠に手を合わせてから北は作業を始める。





───





『今日も頑張っとるなあ信ちゃん。』






『土地神』は山中のお社の裏手でそう呟いた。

目の前には小さな沢。






『綺麗な水は皆に配ってやらな。』






『土地神』はニコニコと沢を枝分かれさせる。






細く別れた沢の水は

スゥ……と地面に吸い込まれていく。






『これでこの土地一帯に行き渡るやろ！
皆も美味しい米や野菜を作ってや！』






よいしょと立ち上がった『土地神』は

お社の前に周り、扉の前に腰掛ける。






『おお、お供え物？ありがとうなあ。』






目の前で頭を下げる２人の人間に

笑顔で礼を言う『土地神』。






もちろん人間に姿は見えていない。






「ツチノカミ様、
どうぞ今年もよろしくお願いします。」


「美味しい野菜が穫れたらまた持ってきます。」






『アンタら、中田さん夫婦やな？
いつも掃除してくれてありがとうな。

特に中田さんの旦那さんの方、
こないだこの扉を直してくれたよな。
ほんま助かったわ！雨風吹き込んで大変でな……』






声だって聞こえていないが

『土地神』は嬉しそうに話し続ける。







「ほな……そろそろ行こか。」


「せやな。」


『また来てな！坂滑りやすいから気を付けてや。』






『土地神』は信仰心から全ての力が決まる。






信仰心が強ければ強いほど人間に返す力が強い。

豊作を与えることが出来る。






もちろん、天候などの自然災害には勝てない。

ただ、負けない強い土地になることは出来る。





豪雨になっても水の引きを早くしたり、

土砂崩れを最低限になるよう耐えたり。






人に与えることが出来る分、奪うことも出来る。






木を切られれば山は弱くなる。

川の形を無理やり変えれば堤防は決壊する。






信仰が減れば減るほど与える力は弱くなる。






『卯月は始まりの月や。
生命も何もかもが新しくなるねん。

やから私も忙しい。
変わるものに追い付いていかなあかん。

すまんな信ちゃん。
卯月の間はあんまり会いに行けんわ。』









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やって、皆に信じてもろてる『土地神』やもん。

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