師範を嫁にしたい【鬼滅の刃】【宇髄天元】

廿陸 ページ28

no side





禰豆子の目にいつかの日の炭治郎と冨岡が映る。





«妹だ……!»



«俺の妹なんだ!»



«禰豆子は違うんだ!»



«どうして今そうなったのか分からないけど»






炭治郎の叫びが遠くなり

禰豆子は自宅の炊事場に立っていた。





父が座り料理をしていた母が振り返る。

何かを禰豆子に話しかけるが声は聞こえない。





そんな母の姿も遠くなり

今度は桜並木の真ん中で兄妹達を見ていた。





茂が羽織りを持って走り回り

六太が禰豆子の袖を引く。


走る茂を竹雄と花子が追いかけ

花子が禰豆子に手を振る。





«人間を守れ。»





鱗滝の声が響く。





« 今後は少し厳しくなるかもしれない。»





優しく微笑む名も知らない女性が禰豆子を覗き込む。





« 禰豆子ちゃん、»





その女性の手がゆっくり禰豆子の頭に置かれる。





«お兄さんの為に頑張るんだよ»





優しく、温かい感触が禰豆子を包む。

強ばっていた心が解けていくのが分かった。





そんな禰豆子の横を炭治郎が通り抜け向き直る。





「(人は……守り、助けるもの。
傷つけない。絶対に傷つけない)」





現実に引き戻された禰豆子は

不死川を睨み、ついに──────







顔を背けた。

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