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駄菓子が四つ ページ6

貴女side


午後五時、子供達も帰った後

私はほうきを取り出して掃除を始める


貴女『♪。.:*・゜』


呑気に鼻歌を歌っていると

扉が開く音がした


貴女『いらっしゃいませ』


扉の方を向いて云うと


「もしかして、もう閉店でしたか?」


また聞いたことの無い声だった


貴女『いいえ、もう少しやっていますよ』

笑顔で答えると


「良かった、乱歩さんに頼まれたから…」


貴女『え、乱歩さん…ですか?』


敦 「あ、僕は中島 敦です!乱歩さんと
同じ会社で働いています!」


貴女『中島 敦様ですね、宜しく御願い致します』

敦 「乱歩さんが追加のお菓子を買って…と」


貴女『うふふ、乱歩さんはお菓子が好きなのですね』


敦 「えっと…う〇い棒と、練るお菓子は…」


練るお菓子は今朝買いましたよね!?

とか思いながら、此方です。

と、お菓子の場所を案内する



敦 「あの、目が見えてないって本当ですか?」

貴女『本当ですよ?』


ほうきを仕舞って敦様のいる方を向く


貴女『敦様は何かお食べになりますか?』

敦 「さっ…様なんてやめて下さい!」


あら、乱歩さんと同じ反応


貴女『では、敦さん…で如何でしょう』

敦 「ま…まぁそれなら…」


貴女『判りました』

そう云って座敷に戻る


勿論手に練るお菓子とう〇い棒を持って


貴女『二つ合わせて八十円です』


今朝と同じようにラムネ瓶を取り出す

今度は二本取って

敦さんもどうぞ、と袋に入れる


敦 「すいません、ありがとうございます」

貴女『いいえ、また来て下さいね』


敦さんがいる方に手を振る


敦 「では失礼します!また!」


バタン、と扉の閉まる音がした



そして、時計が午後六時の鐘を鳴らす


貴女『今日はお終いかな』


表へ出ると鎧戸を閉める

そして鍵を掛けて西側の玄関から入る

これも私の日常である



家へ入ったら

夕御飯の支度をして洗濯物を畳む

お風呂を沸かしている間に食事をとる


片付けをしたら歯を磨いてお風呂に入る

一番奥の寝室に布団を敷いて

九時には就寝


目が見えないからやる事は少ない


明日は入荷の為に休みだから

散歩をしようと決めて眠りに落ちる


貴女『明日も善い事がありますように』

お休みなさい

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作者名:沙羅 | 作成日時:2017年3月19日 16時

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