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駄菓子が三つ ページ5

貴女side


「Aちゃんは目、見えてる?」


驚いた、今までバレたこと無かったのに


乱歩さんは名探偵らしいから

バレても仕方ないのか……


と、自分を納得させ


『うふふ、知りたいですか?』

微笑しながら聞いてみる


乱歩さんは

うん、と小さな声で云った


乱歩「否、初対面だし無理ならいいよ?」

貴女『名探偵様の仰せのままに致しますよ』

少し巫山戯て息を整える



貴女『これはですね、十五年前のお話です』


────

駄菓子屋を経営していた両親と共に

散歩をしていたんです

それで多分午後三時くらいに

すぐそこの横断歩道を渡っていました

その時、赤信号を無視した貨物自動車(トラック)

両親を引きずっていきました

勿論、私も巻き込まれて怪我をし、

両眼の視力を失いました

でも私が失ったものは

視力だけでなく両親も失いました



だから、この親の形見である駄菓子屋を

私が経営しているのです。

────


貴女『暗くして申し訳ありません』


私は乱歩さんに深くお辞儀をした


乱歩「……」


貴女『あの…』


乱歩「ごめんね」

貴女『え?』


乱歩「思い出させてごめん」

貴女『だ…大丈夫ですよ、気にしないで下さい!』


乱歩「あのさ、また来てもいい?」


貴女『それは嬉しい限りで御座います』


乱歩「じゃあ今日はこれ買ってくね」


そう言って手に渡されたのは

……多分、練るお菓子


乱歩「あ、ごめん。分かんないよね?」


貴女『いえ、練るお菓子お一つ七十円です』


乱歩「え、分かるの?」

貴女『このお店の商品は把握済みです』

そう云って微笑む


乱歩「凄いね、あ、七十円?はい」

私の片手をとってお金を乗せるのが判った


大きくてちょっとゴツゴツしてる

男の人の手だった


七十円乗っているのを確認すると


自分の横にある棚から

ラムネ瓶を一本取り出す


貴女『お話を聞いて頂いたお礼です』


小さな袋に手際よくお菓子とラムネ瓶を入れる


貴女『また来て下さいね』

そう云って袋を渡すと

乱歩「ありがと、絶対来るよ!」


乱歩さんは元気に店を出ていった

私の頭を軽く撫でてから


貴女『有難う御座いました』

扉が閉まると同時に私も挨拶をする


嗚呼…緊張した、撫でられるなんて

何時ぶりだろうか……



貴女『乱歩さん…か』

私の知り合いに名探偵さんが追加された

駄菓子が四つ→←駄菓子が二つ



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作者名:沙羅 | 作成日時:2017年3月19日 16時

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