駄菓子が十六こ ページ18
貴女side
子供「すみれ姉ちゃん、ありがとう！」
貴女『また来てね』
子供「すみれ姉ちゃんコレ頂戴！」
貴女『三十円ね』
子供「すみれ姉ちゃん雨！洗濯物ぬれてる！」
貴女『あらホント！有難う』
子供「すみれ姉ちゃん傘ありがと！」
貴女『いいのよ、気をつけてね』
……雨かぁ、お洗濯はやり直しね
ぐっしょり濡れた洗濯物を抱える
「くそ…降られた」
「落ち着き給え店主に迷惑がかかってしまう」
「……」
貴女『あら、いらっしゃいませ』
男性の声が致しました
一人はお若い方、もう一人はお年を召した方
もう一人いらっしゃいますね
貴女『タオル使いますか？』
そう云ってタオルを差し出す
「あ、どうも」
「これは、申し訳ない」
「……すみません」
あら！もう一人は女性でしたか
「おいジィさん！コレ…」
「これは…中原君の外套だね」
「……」
貴女『中原様とお知り合いですか？』
「知り合いもなにも俺らの上司だ」
「貴女こそ知り合いかね？」
貴女『つい先日此処へいらっしゃいました』
「…もしかして駄菓子屋って此処のことかよ」
「そのようだね」
「……」
そうでしたか、中原様は外套をお忘れに…
────ぴとっ
貴女『ほぇ！？』
両頬を触られています…
細くて、冷たい、女性の手でした
「……この人…目、見えてない…」
貴女『あっ…よくお気づきに…』
「おい銀！いきなり何やってんだよ！」
「……五月蠅い」
「はぁ！？」
貴女『あっ…あの…(汗)』
「二人共止めないか。迷惑になっている」
貴女『す……すいません』
「では一つお詫びに名乗ろうかね」
広津「私は広津柳浪、以後お見知りおきを」
立原「ｯ……俺は立原道造、宜しく」
銀 「…銀」
貴女『私は神楽木 Aと申します』
広津「ではこの外套を預かるとしよう」
立原「ったく…中原幹部はよぉ……」
銀 「……」
貴女『有難う御座います』
心なしか雨の音が大きくなった気がします……
貴女『もし、お急ぎですか？』
広津「まぁ少しは……」
貴女『御手数ですがそこの傘を取って下さいまし』
立原「ん、ほらよ」
値札を引き剥がす
銀 「……それ売り物じゃないの」
貴女『どうぞ使って下さいませ』
貴女『お金はお気になさらず』
そして、三本の傘を渡す
広津「流石にそれはどうかと思うのだが」
貴女『あら善いんですよ、遠慮なさらず』
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作者名：沙羅
| 作成日時：2017年3月19日 16時
