【文豪ストレイドッグス】ヨコハマの駄菓子屋さん (ページ16)

今日:9 hit、昨日:30 hit、合計:221,316 hit

駄菓子が十四こページ16

中原side

貴女『ん…ぁ……』

小さな声で目が覚める

あァ…俺も寝てたのか

中原「おい、目が覚めたか」

女の顔を覗き込むと

口紅とは違う紅の唇が微かに動いた

中原「おい…？」

頬をピタピタやってみると

女の顔がサッと青くなった

貴女『どなたですかっ！？』

中原「お…俺は中原中也だ、
手前が…道に倒れてたから…運んだ」

貴女『な…中原様…御迷惑をお掛けしました』

慌てて正座しようと起き上がるも

脱力して倒れそうになっている

中原「善いって…無理すんな」

肩を押してもう一回寝かせる

貴女『嗚呼…お顔を拝見したかった……』

ん？今なんつった？…拝見したかった？

中原「手前…見えてねェのか？」

貴女『あ…はい、盲目で御座います』

寝転んだまんま俺の方を向く

見えてんじゃねェか？

まァ善い……

中原「もしかして、さっき男が来たか？」

貴女『？？泥棒のことでしょうか？』

中原「あ、多分そいつらだ」

貴女『如何しましょう…眉間にパチンコ玉を…』

中原「え、」

貴女『お店で暴れられたので取敢ず撃退を…』

中原「…手前、名前は」

貴女『神楽木 Aと申します』

中原「そうか…じゃあA」

貴女『…はい？』

中原「頭の怪我は大丈夫か」

貴女『け…怪我ですか』

中原「…気付いてないのか？」

貴女『はい』

平気ならいいか…

中原「じゃあ飯はちゃんと食ってるか？」

貴女『え…？』

中原「いいか！？軽すぎンだよ！細いしよ！」

貴女『あ…た…べてます…よ』

中原「嘘つくな」

貴女『…今日は食べてません』

中原「ほらみろ」

貴女『だって…見えない物を食べても
美味しくありません！一人で食べたって
楽しくないですし…』

中原「…じゃあ俺が見ててやるから食え」

貴女『えぇっ！？中原様が！？』

中原「不服かよ…」

貴女『お時間は大丈夫ですか？』

中原「イイよ気にすんな」

貴女『でっ…では支度してまいります』

そう言ってフラフラと立ち上がると

座敷の奥へ消えていった

熱っ、とか痛っ、とか聞こえるンだが……

中原「おい、大丈夫か？」

貴女『慣れっこですので……』

…だから手には切り傷があったのか