18話 ページ20
no side
貴方『──────って事があってね』
太宰「……だから、新人指導の日にしたの?」
貴方『そういうコト。
まとまりの無い黒服達なら私の捜索は遅れる。
その隙に偽造して逃げるなんて容易いよ』
太宰「森さんは?森さんは信じたの?」
太宰は目を細めて訊ねる。
森鷗外と云う男は狡猾で騙すのは難しい。
貴方『信じ切ってはいなかっただろうね。
ただ、私も行き当たりばったりで計画してないから
事前の精神状態や行動は偽っていたよ』
仕事のミスを増やしたり、とAは云う。
太宰「…つまりフラフラの兄さんを見ていた皆は
少なからず違和感を持っていた筈だよね」
貴方『だろうねぇ。
私、仕事してないと気が持たないって云って
隈作ってずっと仕事してたもの』
太宰「兄さん…体は大事にしてよ……」
貴方『それは治もだろう?』
ふふ、と笑うA。
太宰は腑に落ちない顔をしていた。
.
太宰「じゃ、その後は?
死を偽って逃げ出したんでしょう?」
貴方『横浜に居続けるのは危ないからって事で
他県に行って静かにしてたよ』
人差し指を振りながらAは云う。
太宰「安吾には会ったかい?」
貴方『否、会ってないよ。特務課はリスクが高い』
そっか、と呟いた太宰は
力が抜けたようにAに寄りかかった。
貴方『治?』
太宰「……」
肩を震わせる太宰。
流石のAも焦りの表情を浮かべる。
貴方『治、如何したんだい?大丈夫かい?』
太宰「う〜……」
貴方『!?』
アワアワと太宰の背中を撫でるA。
太宰「にぃさんがッ……無事でホント
よか、善かったよ……」
貴方『…!』
探偵社では声だけでAにも見せなかった涙。
ボロボロと涙を零して嗚咽が交る。
太宰「こわ、怖かったのだよ……ッ?
織田作も、居なくなって……にぃさんまで……」
貴方『……辛かったね。ごめんね治』
太宰「わたし…独りになるのがッ………
すっごく、怖く感じたよ……」
貴方『……善い事じゃあないか。成長したのだね』
ぎゅ、と優しく太宰を抱き締めるA。
泣き続ける太宰を優しく宥めてはいるが
Aの心の中は穏やかではなかった。
.
.
たった一人の家族である弟に会えて
心から喜んでいるのは本当だった。
だが、Aにとっても大切な友人を失った悲しみは
数年でそう簡単に癒えるものではなかった。
263人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅(プロフ) - キミナさん» 閲覧ありがとうございますー!ホントですか!?嬉しいです!!その他リクエストも受け付けてますのでお願いします(笑) (2019年7月8日 7時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
キミナ(プロフ) - リクエストありがとうございます!とても良かったです! (2019年7月7日 21時) (レス) id: e2ae360d42 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - オンさん» 更新後の閲覧ありがとうございます!喜んで頂けて私も嬉しいです!今後のリクエストも是非お願い致します(笑) (2019年7月5日 7時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
オン - ああああああ、ありがとうございました!自分が思っていたよりもとっても素敵でした。コメントの返事や、リクエストの更新、本当にありがとうございました(^~^) (2019年7月4日 20時) (レス) id: 8d5683d37d (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - キミナさん» リクエストありがとうございます!一つづつリク消化して書かせて頂きますね! (2019年7月4日 15時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沙羅 | 作成日時:2019年6月12日 7時