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ひゃくにじゅう ページ34

貴女side



それから雨が降り、雨が止んだ。




治くんはミミックの情報を集めるため

忙しく飛びまわっていた。




作くんと私は二人でだったり単独だったり、

手掛かりを求めて街を彷徨った。




私は灰色の旧式拳銃について

何度も考えて記憶を漁った。




そして思い出したのは

あの旧式拳銃は、私の伯父様に見せて貰ったのだ。




伯父様は元軍人だった。

片目を失明し、戦場で戦えなくなった為に

故郷に戻され伯母様と結婚したのだ。




伯父様は露西亜の人ではあったけど、

出掛けた先で戦争に巻き込まれ

尚且つ実力があったと軍に入れられたらしい。




それでも伯父様はそれを誇りに思っていた。




撃鉄に特別な彫り込み(・・・・・・・・・・)がある拳銃を

下賜されたことを喜んでいた。


伯父様は銃の使い手で

とても優れた腕を持っていたから尚更だ。




何時も両の手にその拳銃をのせて

私に戦場のことを教えてくれた。


伯父様は嬉しいと云う割には

悲しい顔をしていたような気がする。





親爺「二人共、難しい顔してるねえ。便秘かい?」





咖喱屋の店主である親爺さんの声で

思考が中断される。




…………便秘?




織田「考え事だ。便秘ではない」

貴女『私も違うと思うよ!』

織田「もし便秘なら咖喱のような刺激物は避ける」




私も頷いた。




親爺「そう、まあそうね……
二人共、咖喱食べてる時にそういう話題されて
怒らないの?」

織田「そんなものか」

貴女『怒るべきなのかな?』

親爺「いや……判んないけど」

織田「こらー」

貴女『作くん真顔だよ?』

親爺「無理しなくていいんだよ織田作ちゃん」




作くんは週に三回は

ここの咖喱を食べに来ている。

何でも習慣がそうさせるとか。



私も作くんに着いて来て

親爺さんの咖喱を一緒に食べる。



初めて食べた時は胃袋が焼けているような

何か、ヤバい感じがしたけど

今はだいぶ慣れて美味しく食べている。




親爺「咖喱の味はどうだい?」

織田「いつも通りだ」

貴女『美味しいよ!』




作くんは珈琲を飲むと親爺さんに訊ねた。




織田「子どもたちの様子はどうだ?」

親爺「相変わらずだよ」




親爺さんはお皿を拭きながら答えた。




親爺「小型(スモール)ギャングさ。
五人だからまだ何とかなってるけど、
もう五人増えたら国際銀行の襲撃だって
出来そうだね。
皆二階にいるから、顔を出してくるといいよ」




私達は言葉に従った。

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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年5月13日 15時

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