ひゃくよん ページ12
no side
坂口「今日お三方がこの店に居るのは、
何かの会合ですか?」
太宰「どうだっけ、二人共」
貴女『さぁ?』
織田「いや、何の予定も無い。
偶然ここに来たら太宰とAが居ただけだ」
織田が二人の代わりに答えた。
太宰「そう?私は今夜ここに来たら
君達三人に会えるような気がしてね。何となく来た」
太宰は自分の発言を面白がる様に微笑した。
貴女『私は何だか一人が寂しくて来た!』
ニヒッとAは笑って云った。
坂口「太宰君は僕達に用事があったのですか?」
太宰「別にないよ。ただ、そうしたら
いつもの夜になるかな、と思っただけさ。それだけ」
そう云いながら太宰はグラスを爪で弾いた。
それからほんの少しの無言の間があって
やがて太宰が何も無い場所を見詰めながら呟いた。
太宰「そう云えば
私達四人が此処で飲むようになって久しいけど、
織田作やAさんの仕事の愚痴って
あまり聞かないなあ」
坂口「そうですね。
Aさんは兎も角、僕や太宰君と違って
織田作さんの業務は少し特殊ですから」
織田「特殊な訳ではない」
そう云って首を横に振る。
織田「単に語る価値がないだけだ。
聞いても面白くない」
太宰「まあたそうやって隠す」
貴女『私はたまに作くんを手伝ってるけどねぇ』
ぼんやりAは呟いた。
太宰「はっきり云って、この四人の中で
織田作の仕事の話が一番面白いのだからね。
白状して貰おうか。
この一週間で、どんな仕事をした?」
織田は少し考えてから、
指を折りながら答えていった。
織田「傘下の商店街で起きた盗難事件の調査。
近所の小学生共が犯人だった。Aが捕まえた。
それから拳銃を紛失したと云う
系列組織のチンピラと、そいつの自宅を掃除。
炊飯釜の中で見つかった。
続いてフロント企業の役人が、
愛人と妻に挟まれて修羅場だったのを仲裁。
Aが動画を撮って脅していた。
あとはマフィア事務所の裏手で見つかった
不発弾の処理。Aも横にいてヒヤヒヤした」
所々でAが干渉していた。
太宰「ねえ織田作、真剣に頼むのだけど、
私と仕事交換しない?あとAさんズルい!」
織田「無理だろう」
太宰「だって不発弾だよ!安吾、聞いた?
どうして織田作にばかりそんな面白い仕事が
回ってくるのさ?不公平だ!
明日首領に、不発弾の処理もさせてもらえない
幹部なんて辞めてやるって、直談判しよう!」
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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年5月13日 15時