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坂口安吾と再会 ページ28

書き直しました…
──────
no side


此処は"Lupin"。

Aは一人、カウンター席に座っていた。



誰と待ち合わせでもなく

ただ一人グラスを傾けていた。



しばらくすると革靴が階段を鳴らす。

Aは顔を向けなかった。



坂口「……!」

店内に入ってきたのは坂口安吾。


Aの存在に気付いた坂口は

声をかけようか迷った挙句、離れた所に座った。



マスター「彼方のお客様からです…」

坂口の前に老マスターがカクテルグラスを置く。



坂口「これは……?」

マスター「フローズン・マルガリータです」



何故、そう云おうとして坂口は固まる。



以前カクテル言葉というもので

太宰らと楽しんだのを思い出したからだ。



坂口「そう、ですか……
ではその方にアメリカン・レモネードを」

マスター「かしこまりました…」



老マスターは頷いて作っていく。

Aは一人静かに微笑して手元のグラスを眺めた。



そして今度はAの前にグラスが置かれる。



マスター「アメリカン・レモネードです」

貴女『ありがとう』



Aは赤ワインとレモンジュースの

層になった色合いを眺めてから口をつけた。



貴女『カミカゼ、彼にお願いしても?』

マスター「勿論です」



再び坂口の前に置かれたグラス。



坂口「嗚呼……僕は如何すれば善いんでしょう。
とても大切な友人を持っていたのに……」



そのグラスを見た瞬間、

坂口は泣きそうな顔で顔を片手で覆う。



貴女『その友人はもう居ないの?』



ついにAが口を開く。

顔は向けずに、ただ前を向いて問うた。



坂口「……あの頃の友人は居ません」

貴女『昔と今は違うわ』

坂口「それでも、もう遅いんです」

貴女『なら、私が友達になりましょうか』

坂口「え……」



唇に弧を描いたAの視線が坂口に向く。



坂口「……僕は許されない事をした。
貴女も、Aさんも僕を許せないでしょう…!?」



耐え切れなくなったように

坂口が強く拳を握りながら云う。



貴女『何故それを貴方が決めるの?』

坂口「…!」



少し低くなったAの声に

坂口は小さく肩を揺らす。



貴女『私が何故"カミカゼ"を贈ったと思うの?
確かに完全に許せる訳が無いわ。
でもこれは…森医師の思惑の下で起きた事よ』

坂口「何故……それを……」

貴女『あら、知らないとでも思った?』



Aは不敵に微笑んだ。

坂口安吾と再開2→←夢主、魔人と会う



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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年2月15日 22時

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