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夢主、幼児化する ページ21

no side


貴女『何だこれは』


朝、目を覚ましたAは

視線の低さに呟いた。


貴女『……口調が戻ってるわッ……戻ってるな』


普段のAは女性らしい(?)口調だが

幼い頃は違ったらしい。


貴女『まぁ善いか』


ガサゴソとクローゼットを漁り

小さめの紺色ワンピースを取り出し着始める。



織田「A?今日は随分と小さいな」

貴女『うん。私もよく判らない』



声をかけた織田と共にAは台所に立つ。



貴女『む、背が低くて届かないな。
……今日は食パンで善いか』

織田「足りるのか?」

貴女『最悪"うずまき"でお世話になろう』

織田「成程」



もしゃもしゃと食パンを頬張り

身支度を済ませたAは社員寮から出る。

片手には分厚い本を持って。



織田「その本は?」

貴女『無いと落ち着かないんだ』



そうか、と頷いた織田はAの後を着いていく。



────



昇降機に乗り探偵社の扉を開けると

真っ先に飛んできたのは太宰だった。



太宰「Aさんおはよ…う?」

貴女『……誰?』

太宰「え、」

貴女『それに此処は何処?何で私は此処に?』



今の今まで普通に話していたAが

探偵社に入った途端、自分を見失った。



貴女『……』

太宰「待って待って静かに出ていこうとしないで」

貴女『…何だ貴様は』

織田「…太宰のことを覚えてないのか?」



勿論ここで織田の声は皆には聞こえていない。



貴女『私は知らないぞ』

太宰「えぇ…じゃ、じゃあ他の皆も?」

貴女『見たことも無いな』



他の社員達もざわつき始める。



独歩「一体これは如何いうことなんだ?」

谷崎「忘れちゃったンですか?」


晶子「乱歩さんなら判るンじゃないかぃ?」

乱歩「めんどくさい!ほっとけば治るよ!」



ワイワイと騒ぐ社員達。

Aは静かに見ていたが、本を掴む手に

徐々に力が篭もっていくのに気付いたのは織田だけ。



織田「A…大丈夫か?」

貴女『ッ…五月蝿い!!私の何が判るんだ!
どうして皆は私に構うんだ!』



突然、大きな声で叫ぶA。

社員達は肩を大きく揺らして静かになる。



貴女『大人なんて嫌いだ!大っ嫌いだ!!』



踵を返してAは探偵社の扉を

叩きつけるように開き、走りでて行く。



太宰「Aさん!!」

織田「A!」



慌てて数名が追うが姿を見失ってしまった。

だが織田だけは、見えぬ糸(異能力)を頼りに後を追った。

夢主、幼児化する2→←織田とジイドと夢主と2



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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年2月15日 22時

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