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十一歩 ページ12

貴女side


貴女『自業自得よ』

太宰「う…善いもん敦君に頼むもん」



助けを求めたことごとくに断られた治。

そりゃ朝からドラム缶に入るんだもの。当然よ。



太宰「やあ 敦君。
新しい下宿寮はどうだい?善く眠れた?」

中島«お蔭様で……
こんな大層な寮を紹介いただいて»

太宰「それは好かった。
ところで頼みがあるのだが」

中島«?»

太宰「助けてタヒにそう」



しばらくすると中島君が

昨夜買い与えた服を着て歩いて来た。



太宰「やあ 良く来たね」

貴女『おはよう中島君』



中島君の表情が固まっている。


太宰「早速だが助けて」

中島「え……?何ですかこれ?」

太宰「何だと思うね?」

中島「朝の幻覚?」

太宰「違う」

貴女『残念ながら現実よ』



そして治は自 殺方法がどうだのと説明をする。



中島「でも自 殺なのでしょう?そのままいけば」

太宰「苦しいのは嫌だ。当然だろう」

中島「なるほど」



中島君の頭の上にハテナが見える。

結局、ドラム缶を倒して治を救出していた。


.




探偵社に向かい三人で歩く。



中島「同僚の方に救援を求めなかったのですか?
それに真横にAさんも居ましたし…」

太宰「求めたよ。でも私が「タヒにそうなのだ」と
助けを請うた時、何と答えたと思う?」

中島「タヒねばいいじゃん」

太宰「御名答。
Aさんにも「自業自得」と云われた」

貴女『何時もの事だもの』



中島君が頬を掻く。

それから行先を尋ねてきた。



貴女『中島君に仕事を斡旋しようと
治と話して決めたのよ』

中島「本当ですか!」

太宰「伝手の心当たりがあるから
先ずは探偵社に行こう」



すると治は胸に手を当てる。



太宰「任せ給えよ 我が名は太宰。
社の信頼と民草の崇敬を一身に浴す男なのだ」

独歩「ここに居ったかァ!」




物凄い怒号が背後から飛ぶ。

国木田君も大変ね。




独歩「この 包帯無駄遣い装置!」




治が停止する。



太宰「……国木田君、今の呼称はどうかと思う」

貴女『面白い渾名じゃない治』

独歩「この非常事態に
何をとろとろ歩いているのだ!疾く来い!」



国木田君が怒鳴るも、

治は「痔になるよ」と云い始める。



怒鳴ると痔になるなんて初めて知った。



太宰「嘘だけどね」

貴女『なんだ』



その一声に国木田君の万年筆は折れ

治は関節技を決められている。



するとおずおずと中島君が声をかけた。

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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年2月15日 22時

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