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夏目side


突然現れた的場さんは

お礼返しをしに来たと言った。


ニャンコ「おい。それはどういう事だ?」

的場「勿論そのままの意味ですよ」


夏目「お礼される事なんてしてませんけど…」

ジッと的場さんの目を見て言い返す。



的場「…私の、妻がお世話になった様でしたので」

会いに来た次第です、と呆れ顔で言われた。



夏目「…妻」

ニャンコ「……」


俺とニャンコ先生は顔を見合わせる。

心当たりは一つしかなかった。



的場「夏目君には名乗ったと言ってましたが」

夏目「…Aさん…のこと、ですか…?」

的場「えぇ、その通りです」



笑をたたえて肯定される。



的場「是非お礼をさせて下さい」


夏目「でも……」

ニャンコ「着いて行く義理はないぞ」


先生が言い切れば

少し間があってから的場さんが繋いだ。


的場「来て頂ければ妻も喜ぶのですが…」

ニャンコ「お前達と関わるとろくなことが無い!」



警戒心丸出しで先生が突っかかる。

それも当然だ。




的場「…言ったでしょう。今日はお礼返しだと。
何も手出しはしませんし、妖は関係ありませんよ」

夏目「……」



これは…否が応でも着いてこいって事か…




夏目「…分かりました。
でも暗くなる前には帰らせて貰いますよ」

的場「勿論です」



では、とさっきの木陰の方へ戻る的場さん。

よく見れば横に道があった。




夏目「あ」

的場「どうしました?」

夏目「…頼まれてた物を届けないと…」


的場「…ではここで待ちましょう。
届けてきて下さい」




ここまで来たら仕方ないので

走って帰り塔子さんに荷物を届けた。


ついでに出掛けると伝えて。


的場さんの所に行くのは

正直不安しかなかったけど

Aさんがいるなら…何とか…なる、かな。

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作者名:沙羅 | 作成日時:2018年12月15日 20時

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