幼馴染は凄い【ハイキュー!!】【音駒】 (ページ45)

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貴女side

"駄目"。

"無理"ではなく"駄目"。

先生の医師としての判断だろう。

それを聞いて心の中の何かが落ちる音がした。

ああ、諦めきれてなかったんだ。

もっと、沢山バレーをしたかったんだ。

もう、全力のバレーは出来ないんだ。

バカだな、分かってたでしょ。

ああ、スッキリした。

「……Aは酷いなあ。」

『……』

「自分が諦められるように
俺にこんなこと言わせたんやろ？」

『……ふふ、ごめんなさい先生。
皆のバレーを見て未練タラタラなのに気付いて。
でも、もう諦めがつきました。』

「はあ…………」

先生が大きく息を吐く。

ゆっくり先生の手が伸びてきた。

「諦めついた顔しとらんやないか。」

『ｯ…………』

優しく頭を撫でられて堪えていた涙が溢れ出す。

「ったく……」

『ｯ～～だってぇ……！！
本当にバレーやりたかったんですもん！！
本当に本当のことなんですもん！！』

「うん。」

『まだまだこれからって時に！！
こんな形で、全中で、終わりたくなかった！！！

あの時に飛び込んだから、
一本見逃して立て直しを考え直してたら！！
まだ、バレー出来たかもしれないのに！！

もっと強いバレーを倒したかった！！
もっと、もっともっと！！！』

そこまで言って声が喉で詰まった。

"たられば理論"なんて馬鹿みたいだ。

あの時に飛び込んだ"から"優勝できたんだ。

見逃してたら多分優勝してない。

「……その顔は分かってるんやな。
でも、俺は医者やからキチンと言わせてもらう。

……A、俺はバレーを諦めろとは言わん。
続けたってかまへん。納得いくまでやればええ。

でも、止めるんは理由があるからや。

今ここで本気のバレーをすれば
Aの腕は一生使えんくなる。私生活でもや。
それは医者として見過ごせない。

限度を守ってバレーしろ。
──────俺がメニュー考え直したる。」

『！？』

ニヤリと笑った先生。

紙を取り出して何やらガリガリと書付ける。

『せ、先生……？』

「何や甘っちょろいメニューしとるやん。
本気でバレーやりたいんやなかったんかあ？」

『ぐっ……』

「まだやれるやろ。医者の俺が考えたメニューや。
自信もって全力でこなしや。」

『先生っ……！！』

「どっか痛めたらすぐ連絡するんやで。
時間が合えば相談も乗ったるわ。」

『先生大好き。』