幼馴染は凄い【ハイキュー!!】【音駒】 (ページ2)

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「ワンチ！！」

全国大会の決勝戦。

飛び交う声援の中ネット際で少女が叫ぶ。

指先に触れたボールは

大きく弧を描いてコートの外へと飛んでいく。

得点板は２４ー２３と表示されている。

叫んだ少女のいるチームの得点は２４。

セットポイントだ。

「しまった……ｯA先輩！？」

キュ、とシューズの擦れる音がして

黒髪の少女が飛び出す。

『ｯ………！！』

ボールは記録席の方へと飛んでいく。

机の他に、奥には取材陣の機材が置いてある。

「Aｯ……！！」

金属特有の耳障りな音が響く。

机はなぎ倒され、機材は飛び散った。

だが黒髪の少女は素早く体を起こす。

『…ｯトスあげぇ！！！』

ボールは再びコートへと戻っていた。

観客席が沸く。

黒髪の少女は袖の破れたユニホームに気に留めず

少しばかりフラつきながらもコートに走り込む。

「先輩っ！！」

「決めろAー！！」

勢いよく踏み切った少女は

右利きにも関わらず(・・・・・・・・・)左手を振り上げる。

勢いよく振り抜かれた左手は

ボールを力強くコートに打ち下ろした。

黒髪の少女が着地すると同時に歓声は勢いを増し、

試合終了のホイッスルが鳴り響く。

「「ありがとうございました！！」」

互いに握手を終え、顧問の元へ戻る途中

黒髪の少女はゆっくりと体が傾く。

「A……？」

『ｯ……ごめ、後、頼んだ………』

「A！！！」

バタン、と重たい音がして

少女は体育館の床に倒れ込んだ。

駆け寄った部員達は

少女から流れ出す赤い液体に目を見開く。

「うそ……血が、」

「先生！救急車呼んで下さい！！」

「先輩！！」

黒いアンダーから染み出す血液と

足元に転がる血塗れのボールペンが

少女は軽症じゃないことを物語っていた。