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4話 ページ13

no side





『宮城県かぁ……』





Aはポツリと呟く。

背後では新幹線は初めてだとか何とか騒いでる。





「おい、まとまって歩け。学校じゃねぇぞ。」


「スンマセンッ」





Aは手に持ったマネージャー用の鞄を揺らし

楽しそうに笑った。





「……A、乗り慣れてるの?」


『?いつも乗ってるからね。』


「いつも……?」


『うん。全国各地の美味しい物を求めて。』


「……お土産ってそれのことか。」


『そーそー。』





そう。Aは隙あらば新幹線に飛び乗って

東北だろうと九州だろうと旅行に行く。





ご当地グルメ大好き人間だ。

ゆえに全国各地の知り合いは多い。





「A、最初の相手校って──────」


『槻木澤高校。
……ウチの情報は流れてないと思うよ。』


「……強いの?」





孤爪が面倒くさそうに聞く。

Aは少し考えてから笑った。





『研磨なら大丈夫だよ。』


「……ナニソレ、」


『ボールが落ちない〜って息上がるんじゃない?』


「出ましたマネージャーの能力(スキル)予知。」


『音駒のいい所でしょ。』





Aはケタケタと笑って新幹線に乗り込む。





隣に座った黒尾は部員に軽く指示を出してから

寝の体勢に入る。





『研磨も、休める時に休んでね。』


「うん。」


『……ゲームを離しなさい。』


「……やだ。」


『…………1時間したら休憩(没収)ね。』


「……」


『そんな顔してもダメ。
向こう着いてもやるんでしょ?なら我慢。』


「……わかった。」





お母さんか、というツッコミを全員が飲み込んだ。





「Aも休んで良いんだからな?」


『大丈夫ですよ海先輩。
私はマネージャーですから。休みは不要です。』


「いやいや……」





キリッと言い切るAに

黒尾が思い切り顔面を手で覆う。





『あばっ、』


「休みは皆平等に必要なんですぅ〜
ちゃんと休んで下さいマネージャーさん〜」


『むっ……』


「部長命令。」


『ずるい。』


「へっ。何とでも言って下さァい。」


『くぅッ……』





持っていたタオルで顔を縛られた(?)A。

ついでに孤爪のゲーム機も取り上げる黒尾。無敵。






『目がぁ、目がぁ〜〜』


「バルス。」





タァン、と小突かれるA。

諦めてそのまま大人しくなった。

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年3月25日 22時

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