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「──────水瀬さんですか?」


「あっ!……あれッスか、あの……
怪我、した……」


『……何だ、知ってたの?
えー!やだやだやだ!!恥ずかし!!無理!!』


「いでででで!
どさくさに紛れて卍固めすんな!?」





ごめん、と軽く謝ったAは

卍固めから黒尾を解放する。





『んー……と、一応、全国いきましたね。
で、怪我したのも私です。はい。』


「バレー……やめちゃったんスね。」


『……うん。ちょっと厳しかったんだよねぇ。
本当は新山から推薦貰ってたんだけど……
しょうがない、って事で!それに遠いし!!』


「そこを俺が拾ったんだよな。」


『勧誘がしつこくて。』





へっ、と笑ったAは黒尾に頭を掴まれる。





「もうバレー出来っからいつでも誘ってやれよ?
ってなわけで部活終わったら自主練付き合って。」


『しょーがないっすねぇ黒尾センパイ。
あ、犬岡君と芝山君も自主練付き合うからね。』


「「はい!」」





ぺこりと頭を下げて去って行く1年2人。

その背中が見えなくなった頃

黒尾は手をわしゃわしゃと動かした。





「……」


『ちょっと……髪の毛、』


「……ありがとな。」


『!なに?改まって……ふふ、変なテツ!
ほら!部長サン、みんな待ってるよ!』





Aは笑って黒尾の背中を押す。

黒尾が戻ったのを見て、Aもマネ業を再開した。






──────





もちろん孤爪とAは

黒尾にアップルパイとシェイクを

奢らせるのを忘れなかった。

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年3月25日 22時

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