・ ページ37
.
『──────というわけなんです。』
《ふーん……ところで、何で僕なの？》
『だって不二、お姉さんいるでしょ？』
《いるけど……》
Aは翌日の夕方
青学の不二周助に電話をかけていた。
《
『アレは金銭感覚ぶっ飛んでるから論外。』
《ああ……うん。そうかもね。》
吐き捨てるように言うA。
不二も否定はしなかった。
『……もちろんタダでとは言いませんよ。
実はここに【東京限定・激辛ラーメン】の
無料引換券がございます。
予定が入って行けなくなったので
ちょうど余っているんですよねぇ。
あぁ……あと青森の資産家から
林檎果汁100%のジュースも来てますね。
貰い手も居なくて困ってるんですよ。』
《ｯ……ずるいなぁAは。
良いよ。オシャレ、手伝ってあげる。》
『やったァ！ありがとう不二！
お礼の品は速達で送るから明日には届くよ！』
《ありがとう。
それで？僕は何を手伝えば良いんだい？》
Aはクローゼットを眺めながら答える。
『服はまあ何とか選べたんだけど……
問題は髪型なんだよね。』
《レパートリーは？》
『ポニテオンリー。』
《……》
『アメリカにいた頃はお手伝いさんが居たから……
その、結んでもらってたって言うか……』
きまりが悪そうに呟くA。
不二は少し考えながら雑誌をめくっていた。
《Aって手先は器用？》
『まあ人並みに……』
《分かった。ちょっと待ってて。》
『はい。』
スピーカーからは携帯を置くような音がした後
パタパタと遠のく足音もした。
Aは取り出してあった洋服をぼんやり眺めつつ
不二の返事を待つ。
《もしもし？》
『はい。』
《姉さんに聞いてみたんだけど……
少し難しいかもだけど編み込みはどうかな。》
『……どうやるの？』
Aは初めて聞いた、という様な顔をして尋ねる。
《口で言うのは難しいな……
テレビ通話に変えても良い？》
『うん。』
テレビ通話に切り替え
不二はAに編み込みの方法を教えていく。
《そうそう……それで、その髪を──────》
『こ、こう……？』
十数分の教授の後
Aは形になった編み込みをマスターする。
『出来た……！！』
嬉しそうに笑うAに
不二も優しく目を細めた。(もともと糸目だけど)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅(プロフ) - I like chocoさん» コメントありがとうございます！気まぐれ更新ですが頑張りますねー！ (2020年3月9日 14時) (
レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
I like choco - お、面白い！続き待ってます！ (2020年3月9日 13時) (レス) id: 1b7c1dd1e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沙羅
| 作成日時：2017年6月13日 23時
