バレンタイン�� ページ28
冷蔵庫に入れて早２時間。
マルガレータの的確な指示のおかげで、初めて作った割には美味しく、形も良いものができた。
｢でもこれは…どうすればいいのかしら｣
その場の雰囲気に流されラッピングまでしてしまった。しかし美智子にも言ったように、自分には渡す相手がいない。皆に配れたら良いのだが、生憎そんな数は無い。やはり配るなら平等でないと駄目だ。
キッチンでひとり立ち尽くしていると、不意に背中に視線を感じる。振り向くと、ジョゼフが壁に寄りかかってこちらを見ていた。
｢な、にしてるんですか｣
声が裏返る。
チョコレートは当然身体の後ろに隠した。
｢それはこちらの台詞なんだけど。…今何を隠したのかな｣
｢何のことでしょう？｣
｢…ふうん、まあ良いさ｣
ジョゼフは興味なさげに話を終わらせる。
少しだけ、心がもやっとした。
｢そういえばマーサがどこに居るか知ってるかい？｣
探してるんだけど、と彼は小さく溜息を吐く。
＿マーサ、チョコレート渡すのかしら…
もやがまた大きくなる。
悟られないように無理矢理笑顔を貼り付けた。
｢マーサならさっき自分の部屋に忘れ物を取りに行きましたよ｣
｢嗚呼、入れ違いだったかな…。どうもありがとう、助かったよ｣
ジョゼフは軽く微笑み、身を翻した。
咄嗟に彼の服の裾を掴む。
彼はピタリと足を止めた。
ジョゼフが振り返るその動きが、スローモーションのように見えた。再びこちらを向いた彼の目には、困惑する自分の顔が映っている。
｢…何？｣
ジョゼフは怪訝そうな表情で首を傾げる。
私は答えられない。
答えられないというよりも、分からないのだ。
何故自分が今彼を引き留めたのか。どうして行って欲しくないと思ったのか。
｢離してくれないかい？行かなきゃならない所が…｣
｢行かないで｣
ジョゼフの言葉を遮るように、口が勝手に動いた。
もやもやがどんどん大きくなる。飲み込まれそうだ。
行って欲しくない。他の人からチョコレートなんて貰わないで。
Aは熱くなった目頭を隠すため、俯く。
Aの抱える感情。
それはまさしく嫉妬だった。
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ゆう - おジョゼかっこいい！ (2021年3月21日 21時) (
レス) id: fdf829f708 (このIDを非表示/違反報告)
シマエナガ(プロフ) - 要さん» そうだったんですね...汗 素敵なお話なので是非残してください！ (2019年2月16日 22時) (レス) id: 56182cb6ed (このIDを非表示/違反報告)
要(プロフ) - シマエナガさん» ありがとうございます！そうなんです、書いた後にそれを知って泣 消すのも勿体なかったのでそのままでいかせて貰いました、、、！ (2019年2月16日 2時) (レス) id: 85394da7f9 (このIDを非表示/違反報告)
シマエナガ(プロフ) - いつも陰ながら応援しています...！ジョセフさんかっこよくて素敵です泣 これからも楽しみにしてます！ それと余談ですが、バレンタインに女性からチョコを渡すと言うのは日本だけらしいです...(でも可愛いお話で好きです...！) (2019年2月15日 23時) (レス) id: 56182cb6ed (このIDを非表示/違反報告)
要(プロフ) - ナ子さん» ありがとうございます〜！そう言って頂けると嬉しいです！頑張ります〜！ (2019年2月14日 7時) (レス) id: 85394da7f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：要 | 作成日時：2019年2月11日 4時
