34 ページ34
・
今日は昼から夕方のシフトだから
前に宮近さんが来た時間には私はいないけど
宮近さんは何時に来る予定なんだろうか
言えばよかったかな、なんて思ったけど
別に私が接客しなきゃいけない理由もないし、と
店内の花の状態を確認する
「ポピーってどこに置いてたっけ」
キョロキョロと見渡しながら店内を歩くと
赤く小さな花々が目に入った
ふと時計を見上げると、
バイトが終わるまで1時間を切っていて
早く来ないかな、と無意識に思ってしまう自分に
「…気持ちブレブレすぎ(笑)」
自嘲気味に笑うと店のドアが開く
「いらっしゃ…」
「Aちゃん。久しぶり」
帽子を被った宮近さんが手を挙げる
心なしか気まずそうなのは
私がそう思っているから見えるだけだろうか
真相は分からないけど、
宮近さんの視線から逃げるように
ポピーの売り場へと進む
「一輪、ですか?」
「花束の方が可愛いかな?」
「うーん、
ミニブーケみたいなのが個人的には可愛いかなと」
「…じゃあ、それで。」
そう言ってふわりと笑う顔に
花言葉が全てじゃない、と
考えていた自分を殴りたくなった
995人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぷらむ | 作成日時:2021年3月15日 23時