夢の中の君は。 (ページ45)

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＂ほら、A！不貞腐れてないで顔あげなさい！
ちゃんとカイトくんにバイバイって言わなきゃ＂

＂やだ！カイトくんとバイバイしたくない」

俯いて半分泣きそうな私と、
そんな私に困ったように説得するお母さん

また、あの時の夢だ

1週間、
毎日のように遊んでくれたカイトくんが帰る日。

あの公園の前で別れの挨拶をしたくなくて
ずっと俯いて駄々をこねていた

＂カイトくんごめんなさいね
もう、A！カイトくんたちも帰らなきゃいけない
時間になるから。いつまでも待てないのよ？＂

ぽんとお母さんに背中を押されるも
顔をあげてしまったらお別れしなきゃいけない気がして頑なに俯き着ていたワンピースをぎゅっと握りしめる

初めて会った日にカイトくんが可愛いって
言ってくれた白いワンピース

お気に入りのワンピースを着たのに
気持ちは浮かないままだ

＂そんなに握ったら、くしゃくしゃになっちゃうよ＂

向かいに立っているカイトくんが
優しく言いながらワンピースから離すために
私の手に触れる

＂カイトくんとバイバイしたくない
もう会えなくなっちゃうのやだ＂

言葉にした瞬間、スイッチが切れたように
涙が溢れ地面を濡らす

＂Aちゃん＂

＂絶対にまた会おうね、大好き！＂

そう言って頭を撫でられる

その手の感触を

私は今日、知ってしまった

「っ……まだ夜中、」

薄暗く浮かび上がる天井を見つめぽつりとつぶやく

またすぐには眠れる気がしなくて、

隣で寝ている海人を起こしたらいけないと思い
寝室をそっと抜け出しベランダに出た