夢の中の君は。 (ページ32)

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「えと…向日葵なのは
地元に向日葵畑がある公園があって小さい時そこで
よく遊んでて。好きな花だから…です」

嘘じゃないのになんだろう、なぜか隠し事をしているような感覚に襲われ思わず目を泳がせる

「そうなんだ。
…ごめん、聞いといて特に話も広げず」

申し訳なさそうに宮近さんがやや俯く

「いやいや！でも珍しいですよね緑の向日葵って」

「そうだね。それもだけど。
…その向日葵畑ってさ、結構たくさん咲いてたの？」

「そうですね、結構広かった記憶があります
そこで、」

＂そこでかくれんぼして遊んだりしたんです＂

という言葉はなぜか言えずに不自然に口を紡ぐ

「そこで？」

案の定、不思議そうな顔をした宮近さんが
私の顔を見て言葉の続きを促す

別に話していいはずなのに、

遊んでたってだけの話なら何の問題もないのに

何でこんなに言うことを躊躇しているのだろうか

「A…ちゃん？」

なんで宮近さんに名前を呼ばれたら、

少しだけ暖かい気持ちになるんだろうか、

何もかもが分からないこの感覚に

少しだけ恐怖すら覚えるこの感覚に

ただ口を紡いで次の言葉を考えることしか
私にはできない