＿episode19 ページ22
＿side.影山 さと
「何よその眼！ 気持ち悪い……！」
「早く飯を作れ！ それしか能がないんだから！」
「お前なんでも言うこと聞くってマジか？ じゃあ、パン買って来いよｗ」
「このゲームに参加して100億とって来いよ！ 命令だからな！」
僕は聞き続けなきゃいけない。
命令を聞き続けなきゃ。
命令を聞くことが僕の存在意義だから。
じゃあ、命令がきけなかったら……
僕、は？
突然の浮遊感でビクッと目が覚めた。
一応目を開けずに周囲をうかがってみるが。落ちているわけではなく、自分の背中にはふかふかしたものがあった。
よくある夢から覚める時の感覚だったとわかり、呼吸を整えた。
どうやら横になっているようだ。僕は死ななかったのか。
目を開けると、そこは家の中のような場所だった。
一瞬、あの人に殺されそうになった場所が頭をよぎるが、どうやら違う場所のようだ。
あそこはふすまなどがある和テイストな家だったが、ここは白がメインのモダンな家だ。
なるべく物音を立てずに起き上がり、横になっていたソファから降りる。
??「あら、目が覚めた？」
急いで振り向くと「そんなに警戒しなくても大丈夫よ」と少し笑いながら言われた。
そこに立っていたのは、ピンクのメッシュが入った茶髪を三つ編みして肩に流し、白い肩だしのシャツに灰色のズボンを履いている＿＿＿男性だった。
紫恩「初めまして、私は春峰 紫恩。よろしくね。」
と、男性にしては高めの声で自己紹介される。
さと「僕は、影山 さと……よろしく」
と返すと相手は微笑んで「さとちゃんね、よろしく。気軽に紫恩って読んでね」と言った。
さと「……それは、命令？」
そう尋ねると、相手は困惑したような表情をした。
紫恩「ええと……命令じゃないけど、もしよかったらそう呼んでほしいわ。」
さと「……わかった。紫恩」
紫恩が困ったように笑うのでそう呼ぶことにした。
紫恩「……すごい怪我だったけど、どうしたの？
とりあえずできる限りのことはしたんだけど、痛くない？」
と、控えめに質問攻めされる。
表情はただただ心配そうで、そこには打算や不信、ましてや嫌悪などはなかった。
僕は何とか答えようと、あの時のことを思い返してみた。
＿＿＿＿＿＿＿＿
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作者名：葉月/月のツッキー/陰鸚 x他3人 | 作者ホームページ：No.
作成日時：2022年6月9日 19時
