秘密やで。【snr】

9話 モヤモヤ ページ10

センラside


嬉しそうな表情で俺の横に駆け足でやってくるAちゃんがかわいい。Aちゃんの彼氏になるとこんな感じなのかなというバカげた妄想を繰り広げながら車内に入った。

「今日もお疲れ様やな〜」
「いやもうセンラさんの方こそですよ！お疲れなのに車出して頂いて…何か奢らせてください！」
「てことはまた俺とご飯一緒に行ってもいいってことでええの？」

Aちゃんは俺の事を見て大きく目を見開いて固まった。

「嫌なんて思うわけが！！忘れてるかもしれませんが一応ラなんでセンラさん大好きなのは大前提なんです…！」

まぁ俺は所詮推しなのかと、まぁそりゃそうだよなと思うしかなかった。確かにAちゃんにとっては唐突に現れた推しでしかないし。俗に言う"リアコ"というのをしてるタイプではなさそうだし。…にしても胸の奥にあるモヤモヤとしたものはなんだろうか。俺が大好きなのは大前提という言葉に素直に喜べなかったような気がした。


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「そしたら鳩に食べられちゃって！！」
「え、そんなことある？？？」
「あったんです！！実話ですよ？ノンフィクション！！あれ、フィクション？」
「ノンフィクションですー」
「今度は合ってましたね！よかった〜」
「迷ってる時点でまだまだやな」
「成長はしてるはずです！日々前進！！」

毎日毎日(といっても出会って3日目)彼女の話は面白い。面白いことが起こりすぎやろ。どんな毎日を過ごしてんねん。

楽しい時間はあっという間なもんで、もうAちゃんの家に着いてしまった。
少し汗ばんだ手でスマホをギュッと握る。頑張れ俺。今日は絶対聞いて帰るんだ。

「すみません、今日もありがとうございました！」
「好きで来とるだけやから気にせんで〜」

荷物をまとめて車を出ようとしてるAちゃんの様子を伺いながら、いつ言おうかタイミングを見計らっていた。このままでは帰ってしまう！と焦って更に汗が出てくる。
Aちゃんがドアに手をかけた時、やっと俺の声が出た。

「あの！！」
「はい！」


二人の間に無言が走った。Aちゃんが困った顔をしている。早く言わないと。




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「えっと……Aちゃんともっと仲良くなりたいので…僕とLINE、交換してくれませんか、？」

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