秘密やで。【snr】

28話 少しの優越感 ページ30

玄関先でありがとうと沢山感謝を伝えていただいた後、私の耳元で"秘密やで"とお決まりのセリフを告げてセンラさんは家に帰って行った。
とてもいけないことをしている感、まぁその通りなんだけど。特にやましいことは何も起こっていないけれど"推しと一緒に一夜を過ごした"という事実はそう。

「今日はないよ〜」のツイートも何も無いまま配信が無かった昨晩、今のような関係が無かった頃の私なら少し心配してる。何か変な噂が立っていないかと私はTwitterを開いて色々なワードを検索した。



『センラさん忙しいのかな？』
『他のメンバーも配信無かったし浦島坂田船で飲まれてるんじゃないのかな？』
『センラさん最近21時とか22時に配信無いよね』
『センラさん最近配信頻度落ちてるのもしかして彼女？と思っちゃう』
『センラさん今日も作業かな〜？』



少し気になる呟きも見られたが右手で数えられるほどのものしか見当たらなかったので私は少し安心した。

配信頻度が落ちてるのは私と定期的に飲んで酔い潰れてるから、21時22時に配信がないのは私の迎えに来ていただいてるから。私に時間を割いてもらっている分のつけがどこかにきっと回ってるからそういった理由もあるだろうと思う。

リスナーのみんなが抱いてる疑問が全て私で解決してしまう。よくないけれど少し…優越感に浸ってしまう自分がいた。







私は携帯を閉じ、センラさんがいた時間に出来なかった洗い物や洗濯等をしようとソファーから立ち上がった。洗濯をする際に脱衣所に向かうと、男物のピアスが1つ床に落ちているのを見つけた。多分…いやきっとセンラさんの。


「センラさん、近くにいるかな」


私は貴重品だけ持って家を飛び出した。
しかし私はセンラさんの家の場所を全く知らない。右方向なのか左方向なのかすらも分からなくて、絶望する。どこにも彼に似た後ろ姿は無かった。


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センラさんに連絡をしようか迷ったけれどあえて黙って自分で持っておくことにした。また他の日に、会えたら。

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