《短編集》私とナナミン。【七海建人】 (ページ6)

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大人の余裕ページ6

七海さんって、余裕のある大人なんです。

例えば、仕事で私が小さなミスをしても素早く尻拭いをしてくれる。

それに、少し惑わすことを言っても余裕でやり過ごす。

今日もそんな七海さんと私の攻防が始まる...。

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『七海さん、今日もお疲れ様でした。』

七海「ありがとうございます。今日は路地裏の雑居ビルに行ったのですが、いつ行っても気味が悪いですね。」

『あそこ、いかがわしいマッサージ店まみれのビルですよね。...七海さんの帰りがいつもより遅かったのは、まさか...。』

私は今日も七海さんの大人の余裕を崩すべく、少しだけカマをかけてみた。

七海「そんな訳が無いでしょう。困ったことを言いますね。」

『でも、七海さんもお疲れだと思いますから私は大丈夫です。代わりにマッサージすることも出来ませんし...。』

七海「ですから、任務後は直帰しました。勘弁してください。」

いつもはとっくに七海さんにかわされている私の言葉が、今日は少しだけ効いている気がする。

『じゃあ、証明してくださいよ。』

追い打ちをかけるようにそう言った私。

でも、これは"悪魔の証明"だろう。

七海「はぁ、Aさんには敵わないことを思い知らされますね。」

『い、いやぁ...。七海さんの余裕を崩してみたくて...。』

七海「証明して差し上げましょう。下品な遊びなどしてこなかったことを。」

そう言って七海さんはソファの上に寝転んだ。

『ど、どういうことですか...？』

七海「好きにしてください。」

『え...？』

七海「もし、私が任務後の夕方にくだらない遊びをしたならば、今頃は精魂が果てているでしょう？」

結局、七海さんのペースに乗せられてしまう私。

このままでは悔しいので、私は七海さんの凝り固まった肩に触れた。

『すごい張ってますね、ここの筋...。』

七海「ご納得いただけましたか？」

『い、いやでも...、ああいうお店はマッサージがメインじゃないですから...！』

七海「じゃあ何がメインなんですか？」

そう言う七海さんは少しニヤッと笑った。

『だ、だからその...。』

七海「まぁ、構いません。納得のいくまで好きにしてください。」

ここで私もスイッチが入ったのか、七海さんの厚い胸板に触れた。

『七海さんの意地悪...。』

七海「始めたのはAさんですよ？」

でも、この勝負は私の勝ちだった。

七海さんの潔白も分かった。

だって七海さん...、反応してたから...。