《短編集》私とナナミン。【七海建人】 (ページ3)

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放課後ページ3

とある日の放課後、帰っていく生徒たちを見送った。

『みんな、凄い成長ですよね。』

七海「そうですね、どんどん頼もしくなっています。」

五条「いやぁ、五条先生の教育が良いんだねぇ。」

『五条さん、いつの間に...！』

五条「ここに居る間くらい、僕もAと一緒に過ごしたかったんでね。」

七海「それは、セクハラでは...？」

五条「人聞きの悪いこと言うなぁ。上司として、部下を可愛がってるんだよ。」

こうして五条さんと七海さんと過ごす時間が、どこか懐かしく思えた。

私が学生の頃も、こうして放課後にみんなでダラダラと居残って雑談した想い出がある。

そこにもう１人、懐かしいメンバーがやって来た。

硝子「あんた達、まだ居たの？時間外労働になるわよ。」

『硝子さん！折角だから、一緒に喋りましょうよ！』

硝子「え〜？私もう帰ろうと思ってたんだけど...。まぁ、いっか。仕方ない。」

五条「硝子にしてはノリがいいね。」

七海「何だか懐かしいですね、この雰囲気。」

硝子「確かになぁ、思い出すね。」

『私もそう思ってたんです！』

気づけば話が弾んで、夏の空が真っ暗になっていた。

-

硝子「ちょっとのつもりが真っ暗じゃない、あんた達に付き合ってるとキリないわ。」

五条「そんなこと言って、ゲラゲラ笑ってたじゃん。」

そう言ってじゃれ合うふたりを見ながら、私は七海さんの隣に座った。

『五条さんと硝子さんも、なかなかお似合いですよね。』

七海「...ええ、ずっと"友達以上恋人未満"ですが。」

『確かに...。私たちがお手本を見せてあげましょうか。』

七海「お手本、ですか？」

『恋愛のお手本です。"背中で語る"みたいな...。』

七海「Aさんは意外と男前ですね。」

その時、七海さんの大きな手が机の下で私の手をギュッと握った。

『え...？』

七海「これは秘密です。お手本はまた違う形で示しましょう。」

耳元でそっと囁かれて、私はドキッとした。

五条「あれ、いつの間にAの顔が真っ赤になってる。」

硝子「ちょっと七海、Aに何したのよ。」

七海「まるでAさんの保護者ですね。特段、何もしていませんよ。」

『七海さん、ズルいですよ...。』

そのまま、各々の帰路に着いた。

-

『久しぶりに楽しかったですね。』

七海「ええ、あのような時間も大切ですね。」

久しぶりのみんなで過ごす時間は、あっという間だった。