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電車に戻ると、そこには不穏な空気が漂い、声を荒らげる田中さんがいた。
彼の手元には、ボロボロのダンボール。
「え、もしかして水.....？」
「俺をナメるな！甘く見るなよ！！」
「.....あの野郎.....」
とてつもないスピードで飛び出していった萱島さんを、誰も止められなかった。
驚いて固まる白浜さんと畑野さん、加藤さんに至ってはあんぐりと口を開けている。
「ああっ！やめてくれ！！水！飲みたくないのか？！」
萱島さんは電車から引きずり下ろした田中さんにシザーを突きつけている。
まるで鬼のような形相からは、凄まじい気迫が感じられる。
「てめぇどうなっても文句言えねえよな？」
目を剥きシザーを持つ手に力を込める萱島さん。
このままでは本当に田中さんを刺しかねない。
「やめろ！暴力はよせ！」
素早く動いた白浜さんが萱島さんを羽交い締めにし、田中さんから遠ざけた。
「！」
走り去ろうとする田中さんが視界に入り、思わず手が、いや足が出てしまった。
スーツの襟首と袖を掴み足を払う。
「うおっ！」
「.....ごめんなさい、つい。」
地面に叩きつけられた田中さんに小さな声で謝罪をする。
受け身が取れる形でなるべく痛くないようにしたのだけれど、大丈夫だろうか。
「すっげ！めっちゃ綺麗な大外刈や！！」
おおっと歓声が上がる。
大地くんが電車から顔をのぞかせ、興奮した様子でこちらを見ていた。
わたしの隣にいた加藤さん、駆けつけてくれた小森さん長谷部さんが田中さんを取り押さえる。
「そんな見せしめは作りたくない！！」
萱島さんと白浜さんが激しく言い争っている。
やはりあの2人の考えは正反対なのだ。
生き残るために意見が衝突するのは致し方ない。
「じゃ理性的に決めましょうか。」
萱島さんが大人しくなった田中さんの腕を掴み、車内に連れてゆく。
田中さんを電車に残すかどうか多数決をしようと提案する彼の表情は真剣そのもので。
彼なりに、秩序を守ろうと動いてくれているのだろう。
でも。
「.....あんたは？それと.....東雲さん。」
こちらを見る萱島さんの視線が突き刺さる。
一呼吸おいたわたしは、畑野さんと目を合わせ、頷いた。
「また何か怪しい動きをしたら、今度は.....覚悟しておいて下さい。」
「.....田中さんを今まで通りここに。」
失望したような表情で電車を立ち去る萱島さんを、わたしはじっと見つめることしかできなかった。
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おこめ(プロフ) - 彩海さん» 彩海さん、今際に引き続きありがとうございます🥹色んな作品読んでくださって本当に嬉しいです！お褒めの言葉、更新のモチベーションにさせていただきますね💐続編もどうぞよろしくお願いいたします！ (5月24日 9時) (
レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
彩海(プロフ) - おこめさん！こっそり読ませてもらっていました！一話一話読み応えがあってとっても面白いです😌表現が繊細なのにすごく読みやすくて流石の文才だなあといつも感動してます！続編楽しみにしてます！頑張って下さい💘 (5月24日 8時) (レス) @page46 id: 3fb936871f (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - くまさん» くまさん、またコメントくださってとても嬉しいです☺️5話ドキドキの展開でしたね.....！！まだ落ちについて明言はできませんが、これから主人公と萱島さんの関係がどんどん深まっていきますので是非楽しみにしていて下さい！ (5月22日 10時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
くま - いつも素敵なお話ありがとうございます！ドラマの展開がアツすぎて！こちらのお話がどうなっていくのか楽しみです！！夢主ちゃん、萱島さんと結ばれてほしいです〜🥺 (5月21日 13時) (レス) id: 04b5add429 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - ゆんさん» ゆんさん、コメントありがとうございます！お褒めいただきとても嬉しいです☺️頑張って更新してまいりますのでこれからもよろしくお願いいたします！ (5月17日 20時) (レス) @page36 id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おこめ | 作成日時：2023年4月22日 16時
