23 ページ24
▽
「ふーんふふんふーん…っんぎゃ!」
「前見て歩けよ危ないから」
「なんだ薫か」
なんだとはなんだ、と言いたそうな目で私を睨む薫だけど全然怖くない。お風呂上りなのかノーセットの薫はいつもより迫力がなかった。まあ私もお風呂上がりだから、多分いつもの3割増しで間抜け面だと思うけど。
合宿2日目が終わり、いよいよ明日家に帰れる。嬉しいよな寂しいような複雑な気持ちだけど、やっぱり少しほっとしている。初めての合宿を特に大きなトラブルもなく乗り越えられたのはみんなが支えてくれたからだ。
「あ、そういえば朝何言おうとしてたの?」
「あー、気にすんな」
「いやずるい!気になる!」
今の今まで忘れていたのに、薫の顔を見たら思い出してしまった。そして一度思い出してしまったらもう止まらない。真相が分かるまできっとずっとモヤモヤし続けるだろう。
「気になるじゃん〜」
「そんな大したことじゃないけど」
「じゃあ余計に言ってよ!」
そう言ってしつこく詰めるよると、薫はきゅっと唇を結んだあとゆっくり口を開いて喋り始めた。
「昨日の夜、純也君と何してたの」
「えっ?」
「一緒にいただろ」
予想外の話を持ち出され思わず固まってしまう。まさかそんなことを聞くのを躊躇っていたの?ホントに?
「ジュース買いに行ったらばったりあってさ」
「それだけじゃないだろ、他にもいろいろしてた」
「あとゲーム誘われてやったけど、それだけだよ?」
本当にそれだけ。嘘はついてない。
それなのに薫の顔色は晴れなくて、むしろどんどん曇っていく。何がそんなに気に食わないのか分からないしこっちまで困っちゃうよ!
気まずいなあと思いつつも、「薫くーん?」と言って顔を覗き込むと、ぐっと腕を引かれた。
「……え?」
気づいたら薫の顔が目の前にあって、背中は壁にぺったりとついている。逃げようにも薫の腕が邪魔で抜け出せない。
「こういうこと、してたじゃん」
「…………はい?」
「純也君にされてただろ」
なんの話をしてるんだ?と思いつつ昨日の夜のことを思い出す。
そういえば純也先輩にも悪戯でこんなことをされたような…。すっかり忘れてたけどそんなこと。
「あれは冗談だよ、だからどいて?」
「前から思ってたけどお前無防備すぎる」
「それ純也先輩にも同じこと言われたし、もう分かったから!気を付けるからさ〜!どいて、よ……ちょ、っ薫?」
なんだか距離が、近いんですけど。
.
601人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
MONO(プロフ) - kubo......さん» ありがとうございます!🥹久保選手も登場させる予定なので、気長にお待ちいただけると幸いです!☺️🫶🏻 (2022年12月15日 1時) (レス) id: 5624c1bc78 (このIDを非表示/違反報告)
kubo...... - 久保選手が好きなのですが、お話を読ませて頂いて、伊東純也選手にも惹かれました!カッコイイです! (2022年12月15日 0時) (レス) id: ab23184136 (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 翡翠さん» 初めまして!コメントありがとうございます!☺️🫶🏻わ〜!ラブコメ大好きなので、そう言っていただけるととっても嬉しいです!🥲❤️🔥後輩ポジから…!じわじわ男見せていってほしいですよね!笑 (2022年12月14日 20時) (レス) id: 5624c1bc78 (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - 優碧さん» 初めまして!いつもありがとうございます!☺️❤️🔥わ〜!めちゃくちゃ素敵です!ぜひぜひ書かせていただきたいです!😭🫶🏻素敵なリクエストありがとうございます!気長にお待ちください!🙆 (2022年12月14日 20時) (レス) id: 5624c1bc78 (このIDを非表示/違反報告)
MONO(プロフ) - luwaさん» コメントありがとうございます!素敵なリクエストだったので、すぐに書きたくなってしまいました!😭💖また何かありましたらお待ちしております☺️❤️🔥🫶🏻 (2022年12月14日 20時) (レス) id: 5624c1bc78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:MONO | 作成日時:2022年12月9日 22時