お隣、48日目 ページ48
▽
「お前は、……好きな奴おるんか」
「…へへへ!分かんないなあ」
「はあ?」
分からないよ、ともう一度付け足して言った。
侑君は眉間にしわを寄せている。でも、本当のことなんて言えるわけないんだから、仕方ない。私は侑君のことがきっと好きだけど、告白するほど身の程知らずじゃないんだ。
自分に自信を持ちたいけれど、もっと強くなろうと思っているけれど、まだ私の憧れる強い女には程遠い。
「…じゃあ、ヒント」
「えっ、そんな中学生の恋の駆け引きみたいなのやだよ!」
「はあ?!誰が中学生や!!!」
「侑君しかいないじゃん」
ふざけんなや!と言って目を吊り上げる。
侑君は面白い人だなあ、と私は思わず笑う。感情豊かで、全部が表に出る。喜怒哀楽が分かりやすくて、コロコロ表情が変わって、自分の思っていることを隠そうともしない。
「ええからヒント言えや」
「えー怖いよ…うーーん」
ヒント、ヒントかあ。
侑君の特徴って言ったら沢山あるけれど、何を言うのがいいだろう。侑君は気づくかな、バレちゃうかな、いっそバレてしまえばいいのに。
告白する勇気なんてないなあ。
治君や北さんは本当にすごい。
うーんうーんと唸ってヒントを考える。侑君の特徴、特徴、特徴…。顔が整っていて、少しチャラそうな見た目をしていて、運動ができて、でも勉強はできなくて、よく治君と喧嘩する、……ううん、違う。
それも侑君の一部だけど、私が好きになった侑君は、カッコイイ侑君でも、喧嘩っ早い侑君でも、バレーをしている侑君でもないんだ。
私が好きになったのは、
「……人のためにね、怒れる人だよ」
私のことを、2回も叱ってくれた、優しくて『良い奴』な侑君なんだ。
▽△▽
人のために怒れる奴が好きだといった。
他にも良いところはあるけれど、そこが一番好きだとAは確かに言った。俺はソイツに心当たりがある。勘違いだったら恥ずかしいけれど、きっと勘違いじゃない。
申し訳ないけど俺は鈍感じゃないし、ネガティブでもない。むしろ自分のことが大好きで、うぬぼれてる部分もある。
だからだろうか。Aの好きな人は、俺なんじゃないか、なんて考えが頭を埋め尽くしてしまっているのは。
わかった、と呟いてにやりと笑えば、Aは少し焦ったような顔をした後に、手で顔を覆った。
そんな反応されたら、分かってしまう。
俺は目の前で死ぬほど照れて、焦っているAを見ながら、口を開いた。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです!そちらの曲も聞いてみたいと思います! (2020年5月27日 13時) (レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます!!OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました!聞いてみてほしいです! (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬田 | 作成日時:2020年5月15日 20時