お隣、31日目 ページ31
▽
「ッおい！！！阿呆女！！！！」
「へ、…えっ侑くん？」
「ゲッ、本人やん！」
俺の登場に男たちはビビったのか急いでその場から離れる。顔は覚えたからな、許さへんぞ、と心の中で威嚇した。
水野はぽかんとした顔で突っ立っている。間抜け面や。
「な、なんでいるの？」
「忘れ物取りに来たんや」
取りに来て、良かった。
おかげで俺は思い出すことができた。水野Aは、正真正銘、4年前の夏、公園で啜り泣いてたあの女だ。
思い出すの時間がかかったのは、あの時直接顔を見ていなかったし、名前も聞いてなかった。声と喋り方しか知らなかったから、中々思い出せなかった。
思い出せた嬉しさからか口元が緩む。
「あの、ごめんね、巻き込んじゃって」
「……はあ〜〜〜？お前はほんっま変わっとらんな」
「か、変わって…？え？」
俺が自ら巻き込まれに行ったのに、何故か申し訳なさそうな顔をする水野に腹が立つ。どこも成長しとらんやんけ。俺があれだけ説教したったのに。
もしかしたら水野は、あんな昔の話、覚えてないのかもしれない。
もしそうだとしたら少し寂しい…というか腹立つけど、仕方がないと言えば仕方がないとも思えた。
「……っあ！時間！」
「時間？」
「ほら、もうすぐ校舎閉まっちゃうよ！」
水野は俺にそう言って、走り出した。
俺はその後ろを追いかける。足が遅すぎるとか無様な走り姿だなとか、どうでもいいことが目について思わず笑いそうになった。
別に、過去に1日会ったことがあるだけの仲だ。
特別な思い入れも、初恋の相手でもない。
だけど、何故か、夜の校舎を水野と一緒に走っているこの可笑しな状況に、心が弾む。
「もっと早よ走らんと間に合わんで！」
「ちょ、急かさないでよ…っだ、イタァ！！！！」
「ブッ！！っく…！ハハハッ！」
「笑うな！！！！」
盛大に転んだ水野を見て、俺は久々に腹を抱えて笑った。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
