お隣、23日目 ページ23
▽
あの日のAの顔が、俺は今も頭から離れない。
俺はAに執着している。自覚がある。ツムにも言われたし、はたから見たら俺のAへの執着は異常なのかもしれない。
だけど、これが恋愛感情なのか、はたまは友情なのか、哀れみからきたただの同情なのか、最近まで分からなかった。
だけどようやく分かったんだ。
Aと再会を果たしたあの日。俺は、満たされるような気分だった。
数年間、バレーだけで無理やり満たしてきた俺の心に、違う色が混じって、温かい何かが心に流れ込んだ。
ようやく、俺にも春が来たんや。
侑ほどではないが、女にモテた。だけど誰とも付き合う気なんてなかった。それはバレーが好きだったから。……そして、Aがいつも、心の片隅にいたから。
___それなのに、目の前の女は何を言ってるのか。
「あ？彼氏が欲しいやと？」
「そっそうなの！私、今までいたことなくて、」
「はぁ〜〜〜？彼氏なんていらんやろが！！！」
「エッ」
俺の声量のデカさにビビったのか、肩が跳ねたA。
俺かてAの急な「彼氏欲しい」宣言にビビっとるんや。お前がビビんな。俺の役目や。
「ええか？彼氏なんていたってな、幸せになれん」
「えっ、そ、そうなの？」
「せやで、Aに彼氏は似合わん」
我ながら酷い手口だと思う。
だけどこうでもせんと、Aの阿呆な脳みそに付け込んで、男どもが寄ってきてまう。そんなことになったら、俺はもう正気を保ってられる気がせえへん。
一人二人だったら殺してしまいそうや。
「でも、…侑くんがっ、あ」
「……は？ツム？」
突如出てきた双子の名前に、俺は困惑する。
Aは明らかに「やらかした！」みたいな顔をして、お得意の視線きょろきょろタイムに入っている。動揺しているのがまるわかりや。
(……ツムの入れ知恵か)
「ツムはな、女好きの悪い奴なんや」
「エッ、まあ確かに…そんな感じはするかも…」
「せやろ？あいつを見とったら、恋人なんてもんいらんっちゅうのがよお分かるで」
すまんなツム。
お前を悪者にしてでも、俺はAを改心させる。二度とAの口から「彼氏が欲しい」なんて聞きとうないんや。
Aはうーんうーんと唸って、頭をひねっている。
「で、でもやっぱり欲し」「はあ？？？？？」
「い、イラナイデス」
せやろ？
俺は念を押すように、そう言った。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
