お隣、45日目 ページ45
▽
「……北さん？」
「おお、Aか」
「やっぱり北さんだ！」
放課後、やっぱり私は特にすることもないのに教室に残り、学校が閉じるぎりぎりの時間まで帰らなかった。もはや習慣と化してるこの行為に意味はない。
そして、何故かそういう日は、北さんとの遭遇率が半端じゃない。
現に今日も、こうして示し合わせたわけでもないのに同じ時間帯に校門を出た。
「奇遇ですね〜」
「せやな」
「部活お疲れ様です！」
ビシッと敬礼の真似事をすると、北さんの口元が緩んだ。北さんを笑わせると、なんだか勝ったような気分になれて楽しい。
滅多に笑わないからね、北さん。
「Aは一人で残って何しとったんや？」
「ん〜ぼーっとしてました！」
「ハハッ、Aらしいわ」
また笑った！
思わず感動で足を止めてしまう。北さんが不思議そうに首を傾げるから、あわててまた歩き始めた。危ない危ない、変な子だと思われちゃう。
しっかりしないと、と気合を入れなおす。
何か話題を、と思い、「あの」と言いかけた時、それに被せるようにして、北さんが口を開いた。
「なあ、A」
「なんですか？」
「……考えたか？」
瞬間、私の心臓はドキリと嫌な音を立てた。
忘れていたわけではなかった。ただ、侑君との出来事や、治君からの告白などがあったから、頭の片隅に追いやれていたのだ。
罪悪感で私は口をきゅっと結ぶ。
でも、ずっと黙ってるわけにもいかず、私は覚悟を決めた。真剣に告白してくれたんだから、私も真剣に答えないと失礼だ。
「……ごめんなさい、北さん」
「……そーか、いや、謝らんでくれ」
北さんは優しく微笑む。
私は思わず泣きそうになるのをぐっと堪えた。私が泣く場面じゃない。私が泣いていいはずない。北さんが笑っているんだから、私だって笑顔を作らないと。
そう思って頑張ってみるけど、下手くそな笑顔しか作れなくて、北さんに苦笑された。
「…なあ、最後に一つお願い聞いてくれん？」
「？なんですか？一つと言わずいくつでもどーぞ！」
「そーか、じゃあ……」
少しだけ照れくさそうに笑った北さん。なんだろう、と思っていると、急に視界が暗くなって、思わず「え」と声が漏れてしまう。
ふわり。
気づいたら私は北さんの腕の中にいた。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
