お隣、43日目 ページ43
▽
Aの顔はみるみる真っ赤に染まっていった。
やめてくれや。そんな顔されたら、嫌でも期待してしまう。無駄な期待はしたくないのに、もしかしたら、なんてアホみたいな希望を持つのは辛い。
「あ、あの……え、と」
「……分かっとる」
「え？」
Aが俺を男として意識していないのは、分かっとる。
そう言うと、Aは少し申し訳なさそうに眉を下げた。そんな顔をしないでくれ、と俺は胸が締め付けられた。
「……でも、好きやってことは、知っといてほしい」
「し、知っておくだけでいいの？」
「は？なんかしてくれるんか？」
「アッイエ…そういうわけでは」
少し焦るAを見て、フッと笑う。
やっぱり俺は、Aが好きやと思う。よく笑って、よく悩んで、すぐ落ち込んで、かと思ったら元気になったり、見ていて飽きないところが好きだ。
笑った顔が可愛いところも、運動音痴なところも、俺より頭が悪いところも、自分のことより人のことを優先してしまうお人好しなところも、全部、全部、
「……好きやなあ」
「え？」
思わず溢れ出た声に、Aはまた顔を赤くする。
俺の告白で、Aが照れて、顔を赤くしているという事実だけで充分や。
「……ごめんね、私、そういう目で治君のこと」
「だから分かっとる」
「ご、ごめん…でも、ちゃんと言わないとと思って」
「変なとこ真面目やな」
Aは照れくさそうに笑った。
俺はすうっと息を吸って、ゆっくりと吐いた。俺の恋は終わってない。むしろここからがスタートだと思う。
フラれたからと言ってAのことを諦めるつもりなんて筆頭ない。
「あ、のさ、治君！」
「ん？」
「その、あの……私のどこが好きなの？」
「……せやな、
まず、笑った顔が可愛いとこやろ？
それに人に優しいし、阿呆やけど常識はあるし、
一緒におって楽しいとことか、
よお分からんことですぐはしゃぐとこも好きやし…
せやな、なにより………
お前は、ええ奴やからな」
Aを見ると、自分から聞いてきたくせに照れていて、面白い。「うぅ」と謎の呻き声をあげて頭をブンブンとふってから、俺を見た。
「い、良い奴！…では、ない！と思う！けど、」
「ええ奴や」
「っう…で、でも！これから！なる！から……その、」
「……おん」
「………ちゃんと、見ててね」
そう言って笑ったAは、なんだか吹っ切れたみたいな、清々しい表情をしていた。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
