お隣、04日目 ページ4
▽
「水野…?さあ、知らんな」
「うーーん、なんか引っかかるんよな」
部活動が終わり帰り道。
早速サムに水野Aについて聞いてみるが、やっぱり知らないと言う。
「なんや、好きなんか?」
「好きなわけあるかいあんなイカれ女」
「酷い言いようやな」
「サムも話してみたら分かるで」
ほーん、と興味なさげに相槌するサム。もう少し興味あるフリできへんのかこの男は。
それにしても、サムが知らないとなるといよいよ打つ手がない。もう本人に「俺と昔どこかで会うてませんか?」と聞くしかない。
しかしんなことをしたら俺までイカれ野郎の称号を手にしてしまう。
それだけは避けたいから、もう少し聞き込み調査を粘るしかない。
「どこで聞いたんやろなあ……」
「下の名前は何て言うんや」
「あっそうや、言うてへんかったな」
そこまで珍しい名字でもないし、名前で特定したほうが良さそうやな。ナイスサム、と心の中で感謝しつつ、俺は「下の名前はAやで」とサムに告げた。
__瞬間、サムの表情が一瞬で変わった。
「……は?A?!?」
「?どしたん、水野Aやで?」
「Aがおるんか!?!?!!?」
急に歩みを止めて俺に詰め寄ってきたサムに、思わず後ずさりする。俺に比べたらまだ冷静なサムがこんなに取り乱すなんて珍しいことだった。
目ン玉かっ開いて俺に詰め寄るサムは、同じ顔だと信じたくないくらいには恐ろしい形相をしていた。頼むからやめてくれ。
落ちつけや、と言って少し距離を取ってから、口を開く。
「水野って言うた時は反応せえへんかったのに、急にどないしたんや」
さっきまで興味なさげに聞いていたはずなのに、あまりの変わりようだし、流石の俺も戸惑う。
「Aって名前は、知っとる」
「でも名字違うんやろ?同名の別人や」
「……イカれ女ゆうたよな」
「?おん」
サムは俺の顔をジッと見て、長い間を置いてからこう言った。
「俺の知っとるAもな、イカれとったんや」
「……は?」
俺の兄弟はアホなんかもしれん。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです!そちらの曲も聞いてみたいと思います! (2020年5月27日 13時) (レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます!!OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました!聞いてみてほしいです! (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬田 | 作成日時:2020年5月15日 20時