僕の彼はヤンキーくん

08 (Ki side) ページ8

『あーあ、泣いちゃった』




『どうする？もう藤ヶ谷来ちゃうんじゃね？』





K「お願いっ、藤ヶ谷のこと許してっ」




『どうすっかなー』





K「っ」




髪を掴まれ、強引に顔を上げられた









『そうだ。なぁ、俺のモンになんねぇ？』






K「え………？」




意味が、分からない





『そうしたら許してやってもいいけど』





K「ほ、んと…？」





でも…





『藤ヶ谷の大事なモン貰えるとかマジ最高じゃね？』





『確かにー』





遠くで、僕を呼ぶ声が聞こえた





K「藤ヶ谷っ…？」





『…やっと来たか』




『どうすんの？このままなら藤ヶ谷、死ぬかもよ？』




嫌だ…





こんな人数を相手に、藤ヶ谷が勝てる訳無いよ……









K「……分かった」




『付き合ってくれんの？』






K「……うん、いいよ」







『じゃあ決まりな』




ニヤリと笑って




男達は早々と裏から出て行った








F『北山っ！』





K「藤ヶ谷…」






ホッとして、涙が溢れ出た





来てくれた





上がった息を整えながら藤ヶ谷は口を開いた





F『アイツらは？』




首を横に振った






F『そうか…』






僕の結ばれた手足の紐を解いてくれて







F『…ごめん』





泣きじゃくる僕を抱き寄せた





K「っ藤ヶ谷ぁ…」





F『泣かないで。喘息の発作出たら苦しくなるでしょ』




ｷﾞｭｯと抱きつけば、更に強く抱きしめてくれた






F『何された？』





K「何も…」





F『嘘つくな。アイツらが何もしない訳ねぇだろ』




言えない、僕はもう藤ヶ谷と居れないなんて






K「…キス、された」





F『他は？』




K「大丈夫」




F『苦しかったろ？よく頑張ったな』




頭を撫でられて






あぁ、僕って藤ヶ谷のこと…






好きだったんだ……って





藤ヶ谷の顔が近づいてきて、目を閉じれば唇に触れる感触






何度も、何度も、キスをした




苦しくならないように、触れるだけの軽いキス




それはとても優しくて、一筋の涙が溢れた









F『…帰ろっか』





K「ん…」





彼らに蹴り上げられたことで痛むお腹を庇いながら歩く





F『顔…頬が腫れてる』




K「ん……殴られた」





F『ごめん…』




K「んーん」





F『…アイツら、マジ許せねぇ』





K「…僕は大丈夫だよ」





藤ヶ谷と離れることになっても




藤ヶ谷が無事なら、これでいい……

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