僕の彼はヤンキーくん

07 (Ki side) ページ7

誰かの話し声で、だんだんと意識が浮上する……





『あぁ、やっと起きた。北山くん』





K「誰、…？」




手足が縛られていて身動きがとれない





そうだ



この人達に連れ去られたんだった…





『そろそろ藤ヶ谷が来ると思うから、大人しくしててよ』





K「ふじ、が、や……？」





何で、藤ヶ谷が…





『そいつに指1本触れんなーって怒ってたよ』






ｹﾗｹﾗと嘲笑う男達




そいつらの手には金属バットが握られていた





…藤ヶ谷が、危ない





K「だめっ藤ヶ谷呼ばないでっ！お願い…」





『ﾌｯ､可愛いお願いだね』





髪をサラッと撫でられたかと思うと





K「いﾞっっ！」





髪を掴まれ、身体を無理矢理起こされた





『俺ら前に藤ヶ谷達と喧嘩してさぁ。俺の仲間を酷い目に遭わせてくれたんだよね』




そん、な…




じゃあ、藤ヶ谷を誘き寄せるための囮ってことか？





K「っ藤ヶ谷には何もしないで！」





『…ふぅん、庇うんだ』




K「殴るんなら藤ヶ谷じゃなくて僕を殴れ！」





『…そう。それもいいかもね』





男達に囲まれて、思わず身体が硬直する





『手ぇ出したら、藤ヶ谷超キレそうー』





『それはそれで面白いけどな』




ﾌｯと鼻で笑った目の前の男が、僕の腹を蹴り上げた





K「うっ、ぐ…！」




『あれ。一発だけでもうギブ？』





男を睨めば、そいつが舌打ちをして





頬を叩かれた




K「っ…」






『…殴るだけじゃつまんねぇな』





『こいつ、女みたいな顔してんじゃん』





顎をグイッと持ち上げられる






『本当、女みてぇ』




ﾆﾔﾘとそいつが笑う





やめてくれ




女みたいって言われると、中学の頃を思い出す





散々女みたいだとからかわれて





女子トイレに無理矢理閉じ込められたりもしたっけ





なんてことを考えていて、男の顔が迫ってきているのに気づかなかった






K「っん！」





気づいた時にはもう、男の口に塞がれていた





気持ち悪い





気持ち悪いっ






『んだよ、抵抗しねぇからキスして欲しいのかと思ったのに』





『期待してたんだろ？』




『もしかして、欲求不満なの？』




男達が笑い始めた





『そっかー。藤ヶ谷はキスもろくにしてくんねぇんだ』





僕はただ俯くことしか出来なかった





藤ヶ谷…






藤ヶ谷を頭に思い浮かべると





涙が溢れ出した

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