某村煩悩集

バナナ(妹)黄 - 教えて？ ページ44

ネタが思いつきまくるので更新しちゃいます。あと二つくらいでネタ尽きるので急に止まるかも。
眠れない妹ちゃんと黄さんのお話です。

———


「…あのね、メテヲさん…私最近おかしいの…」

眠れないのだと私の部屋を訪れたヒナちゃん。あったかいココアを淹れてあげて、ちょっとした世間話をしているとヒナちゃんが俯き気味に、少し神妙な面持ちで語り始めた。

「えっと、…ある人を見ると、私ドキドキして、その人の事しか考えられなくなっちゃって…どうしちゃったのかなぁ…？」

両手でココアを持って、自分の太ももを擦り合わせて、恥ずかしそうに話すヒナちゃん。…それって、まるで——

「——恋、してるみたいだねぇ。」
「…恋？恋って、あの…？」

口元に手を当て、暫く動きを止めた後、ヒナちゃんの顔に紅が差す。それは瞬く間に広がっていって…図星、みたいだ。

「わ、私？…でも……そう、なのかなあ…」

ヒナちゃんははくはくと何か言いたげに口を開閉し、目を白黒させて慌てふためいている。幼く見えるけど全然酒が飲める年齢だし、恋くらい経験済みなのかと思ってたな…

「へえ〜、ヒナちゃんに恋されちゃうなんて…お相手さんは相当魅力的なんだろうなー」
「…うん、すごい魅力的な人だよ。」

頬を赤らめて俯くヒナちゃん。ちょっとだけ切なさを帯びた表情が突っかかるが…でも、なんか、乙女してる。いいな。
自らの指と指を絡めて、水面が揺れるココアを見つめて、つやつやでぷるぷるな唇を食んで。——そんな表情をさせる人って誰なんだろうって、気になった。

「…ねえ、私にだけ教えてよー、好きな人。良き相談相手になること、保証するから！」
「……うーん、秘密にしてくれる？」
「勿論！」

何度か「えっと」とか「あー」とか、曖昧に呟いて逡巡した後に、意を結したのか、眉を少し吊り上げて、顔を近づけてきた。耳打ちするのかな。私しかいない私の部屋だから普通に言ってくれれば良いのに、なんて思っていたら、ヒナちゃんの顔は自分の目と鼻の先まで迫っていて。

——ふに、唇に何か柔らかい感触を感じた。
柔らかさを感じた部分から、じわりと温かさも広がっていく。今、私、何を…？
脳が処理する前に、唇に触れる温いものは離れていった。目の前が明るくなって、ヒナちゃんがガチ恋距離で瞳に映る。

「………ね、秘密にして？」

何かに怯えているような、震えた声と少し潤んでいるように見える瞳に射抜かれ、私は静かにただ頷くしかなかった。

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