義勇と蔦子と鬼 ページ3
鬼が言ったことに義勇と蔦子は理解が出来なかった。
目の前にいる人が鬼?
自分たちの両親を襲った同じ鬼だというのか?
「そうですね、鬼です」
気にも止めずに女はそう言った。それに斬られた箇所から夥しい血を垂らす鬼は命乞いをするように女へと口を開いた。
「な、ならそこにいる子供、譲ってやるよ!こいつらの両親はとても美味かったぞ!」
そう鬼が言えば女は、少し間を置いて蔦子と義勇へと視線を向けた。
「…たしかに美味しそうですね」
「そうだろう!そうだろう!なら貴様に譲ってやる!」
鬼と肯定した女に2人は青ざめていて身体を震わせていた。今度こそ食べられてしまう、2人は手を握り合って縮こまってしまった。ぎゅっと自分を抱きしめる蔦子の腕の中から義勇は女を見た。
笑ってる。女は笑ってる。笑ってはいるけど、その笑みは俺たちに向けられているのではないことに義勇は気付いた。
「…何か勘違いしているみたいですけど」
女は鬼のまだあった腕を斬り落としていた。また鬼は悲鳴をあげる。
「貴方が美味しそうって言ったんです。とっても脂が乗ってて美味しそうだなあって思ったんです」
「な、は?鬼が、鬼を喰うだと…?」
鬼は目の前にいる自分と同じであるはずの女が言った言葉の意味が分からなかった。人間ではなく、鬼?この女、鬼を喰らうだと?
鬼は焦った。
この女が自分よりも強いことは身を知って分かった。あの子供どもを喰らえなくて悔しいが、今は逃げなくてはいけない。
そこで鬼はあることに気付く。
女に斬られた腕が元に戻らないことが一向に戻らないのが不思議でならなかった。もっと言えば斬られた箇所から激痛が走っているのも不思議でならなかった。
「腕、元に戻らないの不思議に思いました?」
女は笑いながら鬼へと近付いて、自身が持っている刀を見せた。その刀を見て鬼は嫌な予感がした。月の光によって鈍色に光る紫の刃をした刀に、生命の危機を感じたのだ。
「藤の花が使われているんですよ、この刀。私たち鬼の天敵でもある藤の花。これを思う存分使ってる刀なんです。だから」
ひゅうんと音が鳴った。
今度は下半身に激痛が走った。鬼が震えながら視線を下ろすと自分の両足が斬られていた。
「斬られると激痛が走るでしょう?ああようやく同じ目線になった。これでもう逃げる事は出来ませんね、簡単に貴方の首を刎ねられる」
そっと鬼の首に刀を添え、そして鬼の首に刃が食い込む。
「さようなら」
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作者名:まはまは@みんく | 作成日時:2019年7月24日 22時