あなたが、【煉獄杏寿郎】

あなたと変 ページ40

「明日は俺も店にいるからな！」

『は、あ』

「恐らくだが宇髄もくるだろう！」

『まあ、天元さんはくる、か』


常連だしな。と思いながらまたビクリと反応する杏寿郎くん。

どうしたんだろう、

そう思い、ちらりと見る。


「いつから名前呼び、なんだ」

『名前呼びしないと話を聞いてくれなさそうだったから昨日...?からかな』

「そうか！」


杏寿郎くんの目が泳ぐ。
本当にどうしたんだ。

心配になり、みつめる。


「俺もさん付けで読んでみてくれ！」

『え、』


急に変な要求をしてきて不思議に思う。


『杏寿郎さん、？』


そう呼ぶと「う"ぐぅ」と何かに耐えるような声が聞こえる。
口を抑えて、目を瞑り少し頬を赤くしている。


「い、や。やっぱり杏寿郎くんで構わない！」

『変な杏寿郎くん』

「うむ！安心する！」


嬉しそうにニコッと笑うあなた。
なんなのだろうか。

私が首を傾げると気にするな、と頭に手をぽんとやる。


婚約を止めさせようとしたり、先程から変だ。

もしかして、と思うが甘露寺さんと2人で笑い合う杏寿郎くんを思い出す。


お似合いだ。どこからどう見ても。誰が見ても。


甘露寺さんで思い出したが稽古は大丈夫なのだろうか。


『杏寿郎くん、稽古に戻らなくて大丈夫...?』

「ああ！構わん！今日はおしまいだと甘露寺にも伝えてきた！」

『そうなんだ』


私を追いかけるのが遅かったのはそれか。
そう思い、納得する。


「そんなに甘露寺が気になるか？」

『え、！まあ、うん』

「俺たちより一つ下だ、歳も近い。Aの良き友人になるのではないかと一度会わせたかったんだ！」

『可愛らしい子だよね。お花みたい』


ぽつりと口からこぼれる。
それを聞いてきょとんとした顔で私を見るあなた。

そして急に満面の笑みをうかべる。

先程からなんなんだ。


「君は何か勘違いしてるかもしれないが、俺の想い人ではない！」

『え、そうなの？』

「うむ！」

またにっこりと笑う。
え、だったら誰なのだ。

まあ、鬼殺隊には沢山の女の子がいるだろうしな。
やはり花の呼吸の人なんだろうか。

むむ、と考える。


「はは！君はわかってないふりをしているだけじゃないか？」


豪快に笑う彼。

わかってないふり、

どきりとした。

だって彼が私に対しての今までの行動や言動は明らかに想い人にする行動だ。


ということは、私？


しかし私は花のようではないため、可能性は0に近い。

私は自問自答を繰り返すしか無かった。

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