あなたと血鬼術 ページ27
そっと離される唇。
今私、何された?
瞬時に額を両手で抑える。
「真っ赤だなあ」
するりと頬を撫でられる。
ぴくりと身体があったはねる。
彼の手はとても暖かかった。
「昔は稽古終わりに泣いていた俺にこうしておまじないをかけてくれてたじゃないか。」
くすくすっとわらうあなた。
なんで覚えてる。
あの時のあなたは稽古終わりに私の元へ駆け寄り、抱きついてきてぐすぐす泣いていた。
このことは2人だけの秘密で、泣き止まないあなたの額に口付けをすると、あなたは泣き止んだのでおまじない、といっていた。
『い、今私、泣いてない、』
「む!確かにそうだな!」
にこにこと笑うあなた。
あなたが何を考えているか分からない。
少しその笑顔が怖くなる。
すると私の寝巻きの胸元を緩めてきた。
首元が露わになる。
慌てて隠そうとしたが、がっしりと手を彼に捕まる。
「うむ、君の白い肌にこの赤い跡は良く似合うが面白くないな」
そういうと首元に顔を近づけるあなた。
そしてすんすんと匂いを嗅がれる。
「鬼の匂いがする、やはり湯を浴びても落ちないか」
ぽつりと先程よりもいっそう低い声が響く。
ぐりぐり、と首元に頭を押し付けられ彼の髪が当たってくすぐったかった。
そして再度私の首元を嗅ぐが、しかめっ面をした。
「あの鬼の血鬼術、と言ったところか」
むうっと考え込むあなた。
私は血鬼術がかけられているのか。
「A」
『な、なんでしょう』
「そう緊張するな!君は血鬼術にかかっている。期間はこの跡が消えるまで、だろう」
『なるほど...?』
「この跡が着いている間は鬼に襲われやすくなる!」
『えっ』
つまりこうだ。
あの鬼の血鬼術は目印をつけること。
自分が殺されたあと、自分が襲った女が死んでいない場合、他の鬼に狙われやすくするよう、この跡をつける。
私の場合、多めに付けられているから一層狙われやすいようだ。
なるほど、彼は確かめたかったのか。
何がしたいか理解ができた。
「匂いを消すには上書きをするしかないのだが...」
『う、上書き...?』
「そうだ!」
そういうとあなたは私の首筋をなぞる。
ゾワゾワっと鳥肌が立つ。
あなたは私の耳に口を近づける。
そして私に吹き込む。
「同じ場所に俺が跡を付け直すんだ」
低く、甘く、そして優しい声で。
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ねむこ(プロフ) - 柑橘蛍さん» 柑橘蛍さんコメントありがとうございます〜!わかります.....推しは尊いですよね....読んでくださってありがとうございますー! (2021年2月12日 12時) (レス) id: 81a8bcf75d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 今日も今日とて推しが尊い…! (2021年2月10日 0時) (レス) id: c6603d0c65 (このIDを非表示/違反報告)
ねむこ(プロフ) - 晶子さん» はじめまして!コメントありがとうございますー!記憶したい!?!そこまでですか〜!?感謝です... (2021年1月17日 0時) (レス) id: fdabd54cfd (このIDを非表示/違反報告)
晶子 - 初めまして!何ですかこの神作品は!?最高です( ; ; )何度も読み返してしまいます。。!!もう記憶してしまいたいくらい!! (2021年1月15日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
ねむこ(プロフ) - 沙希さん» こちらこそありがとうございます...!!!!!!長編なので大変でしょうけど最後までよろしくお願いします...! (2021年1月10日 13時) (レス) id: fdabd54cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむこ | 作成日時:2020年10月28日 8時