あなたが、【煉獄杏寿郎】

あなたと藤の花 ページ7

ご飯も食べ終わり、皿も片付け、
店の準備を終わらせた。


朝日はすっかり顔を出し、
空のてっぺんを目指している。


杏寿郎くんが家に帰る時間だ。
そして今日も申し訳なさそうに私を見つめる。


「すまない、今日も藤の花をくれないだろうか」

『今日も自分の分まで渡したの？』

「むぅ...すまない....」


しゅんっとなるあなた。
かわいい。


私は彼に藤の花の入った小袋を渡すようにしている。
杏寿郎くん用と夜道で会った人用数個だ。


鬼は藤の花の匂いが嫌いで近寄ってこないから
彼が少しでも長生きできるようにと
私からの贈り物。

しかし、彼は優しいからたくさんの人を助け、
その人に藤の花の入った袋を渡す。

たくさんの人に渡すため、足りなくなってしまう。
そして自分の分までも渡してしまうのだ。


まあそれも毎度のことなので準備はしている。


『はい、どうぞ』

「ありがとう！」


準備していたものを渡すといつもの笑顔とは違う柔らかい笑みを浮かべる。


渡す時、毎回この笑顔を見せてくれるのだ。


この笑顔も大好き。


その笑顔を見せてくれるなら頑張りがいがある。

私も嬉しくなって笑顔になる。



『どういたしまして、じゃあまたね。
いてらっしゃい』

「ああ！また！いってくる！」



元気な声でいうと
私に背を向け羽織を風になびかせながら歩いていく。


またね


いつその約束が破られるかわからない。
この言葉を言う時、彼は少し寂しそうな顔をする。


でも、私はまた、あなたに会いたいから。


滅、の文字が羽織がなびく度に見える。


鬼なんか居なかったら彼は命をかけなくていいのに。



そう思いながら藤の花の匂いをかいだ。



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藤の花言葉は
「優しさ」「歓迎」
「決して離れない」「恋に酔う」
です。

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