"恋の仕業" (ページ5)

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ep.5 ページ5

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樹が部屋を出てから沈黙が続いて

「蘭ちゃんは好きな人とか…その…いないの？」

俺が急に口を開けば、

「…居ない、ですよ？」

驚いたのか、持っていた衣装を何着か落とす

「ごめん変なこと聞いて」

「あっいえ全然」

俺は駆け寄って落っこちた衣装を拾う

「ありがとうござい、あっ…」

ドラマのように漫画のように

手が触れる。

偶然なんかじゃないよ？

ごめんね…俺の下心

ゆっくり顔を上げてAちゃんを見れば

目が合ってお互いすぐに逸らす

でもまた…ゆっくりと目が合う

そんな表情されたら、俺期待するよ？

「Aちゃん…って名前で呼んでもいい？」

「…え、あ、はい、どうぞ」

「よかった。

それと樹の事だけじゃなくて…さ」

「俺のことも意識してほしいな」
拾った衣装をラックにかけ、少しだけ君に近付く

これでも、もし気付かないのなら

君はイジワルだ

「意識して…ます、よ」

「…え」

思ってもみなかった言葉に頭が追い付かない

「それって、…」

「だって尊敬してますもん」

それってどういう意味？期待していいんだよね？

「あ、そろそろ衣装に着替えて下さい！」

時計を見ればスタジオ入り15分前

「廊下で、ちーかねにバッタリ会って話してたわ」

タイミングよく、樹も戻ってきた

「樹さんはどちらの衣装が良いですか」

「このパンツめっちゃ良いじゃん、え、俺こっちにするわ」

2人ともよく平気でいられるね…

「大我さんは？」

「Aちゃんが好きな方がいい」

「…うーん、こっちですかね」

ちょっと攻めたつもりなんだけど…？

案外あっさり。

もしかして俺のこと…
なんて期待した自分が恥ずかしいぜ…

「私一旦出ますね」

Aちゃんが部屋を出て、
俺と樹は選んだ衣装に着替え始める

「何か話した？内容はべつに聞かないけど」

樹はパンツのベルトを締めながら振り向く

「うん、好きな人いるか聞いたよ」

「ねぇ内容は言わないで？…気になるじゃん」

「居ないってさ」

「そっか良かった。チャンスあるじゃん」

着替え終えた俺たちはスタジオに向かう

「収録頑張ってくださいね」

Aちゃん、

その笑顔と君から貰う言葉に

どれだけのパワーがあるか知ってる？

欲を言うと、

いつも俺だけに向けてほしい。