むらさきくんとしろくん (ページ10)

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: こんなにも好きにさせたのは君ページ10

(fk)

〝めめえーー〟〝康二くん！〟

楽屋で聞こえてくるのは愛しい恋人の声。
でもその呼ぶ相手は俺じゃない奴ら。

「おい、乗っかんな」
「いいじゃん、俺の椅子だよめめは」
「は、お前ふざけんな」
「いてっ、ぐりぐりしないで！」

めめの膝の上で頭をぐりぐりされてても楽しそうだし、めめも満更じゃなさそうな態度。

「あ、ラウー今度この店行こうや」
「わー！おいしそー！行く！」

次は康二かよ。
いやいや、俺は？俺は？

悔しいのはめめと康二の前でもとにかく可愛く見える。ご縁がないと思ってた嫉妬は、アイツのせいでするようになった。

「ふっか、顔やばいよ」
「誰が化けもんだよ」
「マジで今は化けもんくらい怖い顔してるぞ」

手で口を押さえて笑いを堪えながら言ってきたのは照だった。

「いや、あれは無理っしょ。めめと康二も嬉しそうだしさあ」

3人がいる方を見ながら言うと照は大きく頷いた

「俺ならキレてる」
「って言うと思ったわ。怖え。」
「嫉妬させんのが悪い…とはラウには絶対言えねえけど」
「だろ？」

あいつに悪気が無いのも、あの可愛さがあいつの良い所なのも分かってるいるからこそ、

「困ったもんだ」

撮影が終わって各々帰る準備をしていると
でっかい奴が飛びついてきた

「ふっかさあん！」
「うおっ、なんだよやっと来たか」
「え？なにい？」

〝楽屋で俺の所にも来いよ〟とか言える訳もなく、
ぽかんとするラウの頭をぐしゃっと撫でて

「帰るか！」

そう聞くと、大好きな笑顔で頷くから
さっきの事なんて忘れる

「ねえふっかさあん、」
「なにー」
「楽しいねっ」
「はは、だね」

ただ歩いているだけでもこうやって〝楽しい〟と溢すラウは可愛い

あーあ、俺はさっきまで嫉妬してたのに
結局こうなるんだよな

「ふっかさん今日嫉妬してたの？」
「ぶはっ、なんだよ、急に」
「んー、岩本くんから聞いたの、あ、秘密って言われたから秘密ね！」
「それ秘密じゃなくなってるん」

あいつめ、許さない

「嫉妬したの？」

心なしか嬉しそうなラウ

悔しい

「…したよ、ちょっとな」
「んふふ、僕の事大好きだね。岩本くんがね、〝ふっかが嫉妬するようになったのラウと付き合い始めてからだよ〟って」
「は？！アイツ…」

彼は悪戯っぽく口角を上げた

ラウのせいだ。こんなの。

「あ、内緒ね今の」
「だから内緒にできてねーから！」

こんなにも好きにさせたのは、お前のせいだよ