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(mm)

仕事終わりの阿部くんを待っていると

後ろから肩を叩かれた

『目黒くん』

振り返ればいつもとは違う私服の阿部くん

「お疲れ様」

『ありがとう、ごめんね待たせちゃって』

雰囲気が違うだけで、

また好きになる

「阿部くん家はどっちすか？」

『あっちだよ』

「俺も方向一緒だ」

偶然にも方向が同じで、互いに自然と歩き出す

特に話す訳でもなく、

でも居心地が悪い訳でもない

『あっ、星だ』

突然立ち止まった彼は夜空を見て言った

「綺麗っすね」

『ふふ、だねえ』

阿部くんの方が…

なんてそんな事言えないけど

『目黒くん、星とか好き？』

「あー、好きっすよ。ラウールと良く夜に散歩して星空見に行ったりしてるし」

『へえ、素敵だね』

そう言って優しく微笑んだ阿部くんと

目が合った

『あっ、』

暗いから良く分からないが、

目を逸らした彼は少し恥ずかしそうだった

「可愛いっすね」

『なに…言ってんのっ』

思わず口に出てしまったけど、

ちょっと焦ってる阿部くんが更に可愛い

『目黒くんって、本当罪な男』

「ふは、それこの前も言ってたけど、どういう事」

『人をキュンとさせるのが上手』

それは、俺にキュンとしてくれたって事なのか

俺の事もしかして、気になってくれているのか

「誰でもって訳じゃないよ」

そう答えると〝ふふ〟と小さく笑った

好きになったら好きが止まらないだけ

『あ、ここだよ』

阿部くんの住むアパートに着いたようで周りを見渡すと見慣れた建物

「あれ、俺この目の前のアパートっす」

『ええ！ほんと？』

「本当。あれ」

俺が指さすアパートを見て、〝すごお…〟と呟いた

「嬉しい、阿部くんにいつでも会えるじゃん」

好きな人の家が近い事なんてある？

運命すぎない？

気のせいかもしれないけど、

阿部くんも嬉しそうな気がした

「阿部くん、連絡先教えて」

『あ、うん！』

お互いにメッセージアプリを開いて交換すると

【あべりょうへい】という名前と本のアイコン

「本好きなんだね」

『わ、恥ずかしい。』

「ふは、阿部くんっぽい。じゃあ連絡するね」

『うん、また！』

スマホを握りしめてニヤニヤを抑えながら、

阿部くんとは別れた

「やべえ、まじ好きすぎだろ」

思わず呟いた言葉は夜風に流れていった