第76話 ページ4
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その翌日。
Aは一晩中ずっと優羽を捜していた。
頰には何筋もの涙の跡があった。
Aは疲れ果て、ベッドに倒れこんだ。
「優羽…一体どこに……」
Aは優羽の部屋へ行った。
机の上に開かれた日記帳がAの目に留まった。
「これを見れば何か分かるかもしれない…」
そう思ってAは日記帳を見た。
そこには、こんなことが記されていた。
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20XX年 4月8日
今日から日記を付けようと思う。
中途半端な日数になったが、まぁそれは良いとしよう。
4月9日
今日は公園である本を拾った。
非常に興味深いものだった。
実は、この世界とは別に、二次元世界というものがあるそうだ。
そして、三次元世界からその二次元世界というところにある方法で行くことができるらしい。
ある石を見つけて、夜その石をみがいて月の光に当てて祈る。成功するのは稀らしいが……。
ガセネタかもしれないが、面白い。試してみる価値はある。
4月10日
今日は見つけてきた石でその方法を試そうと思う。
本当なのだろうか……?
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日記はそこで終わっていた。
「優羽は別の世界に行っちゃったってこと?」
Aはちらり、と窓辺に置かれたダイアモンドを見た。
ダイアモンドはこの間の妖しげな光り方ではなく、太陽の光に当たってキラキラと輝いていた。
Aはダイアモンドを取ると、優羽の日記帳とあの分厚い本を持って自分の部屋へ向かった。
「優羽……今貴方はどこにいるの」
Aはぎゅっと強くダイアモンドを握り締めた。
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作者名:威風堂々 | 作成日時:2016年7月18日 17時