ずっと、もっと。 (ページ35)

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松田side

「思えば、あの時から好きだったのかもなー」

ぽつりと呟いたその言葉は夜風に乗って消えていく

今までだって顔がタイプの人と関係持つことなんて
割とあったけれど、その人のために自分が
何か行動するなんてこと初めてで、

我ながら多分珍しく恋をしているんだなと
自分から面倒なことしているなと感じた

Aさんの口から
「うみが高校の時、私のことが好きだったけど
諦めたらしい」と聞いた時は、

Aさんが自分のことを好きだと知っている上で
過去の自分の気持ちをAさんに伝えるなんて
なかなかエグいことを海人さんはするなぁなんて
思ったのを覚えている

だけど、海人さんが怜奈さんと別れた今、

いつ2人の想いが交差しても
おかしくないことになった

「そろそろ邪魔者かな～」

やっぱりあれこれ考えるから

恋愛は心底面倒くさいし向いてない

そう思いながら、夜空を見上げ部屋に入る

ベッドに戻ると、すやすやとAさんが寝ていて

あと何回この顔が見られるか分からないから

ごめんね、Aさんと心の中で唱えながら

寝顔の写真を収めた