・花嫁さん? ページ34
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「はい、完成っ。どうよ?」
「すごい……!」
北山さんが美容室でよく見る大きな鏡を広げてくれて、渡された手鏡を使って確認する。
顔まわりと頸に後れ毛を残したルーズでゆるふわなシニヨンヘアで、キラキラとした飾りも付いている。
「ねえっ!私が花嫁さんみたいだよ?」
「んははっ。見たことなかったけど、アップも似合ってんな。」
「ありがとうっ、すっごい可愛い!」
「どういたしましてー。」
「ずっと見ていたいくらいすごい……。」
「そりゃ嬉しいけど、遅刻するぜ。」
「北山さん、本当にありがとうっ。こんな可愛いヘアスタイルで結婚式に出れるなんて、すごい嬉しい!」
お礼を伝えると、北山さんは照れているのか耳を触りながら私から視線を逸らしてしまった。
ふふふっ。
そんな表情をした北山さんを見るのは初めてで、可愛いなんて思ってしまう。
話しながら北山さんに合わせてゆっくり階段を降りていると、アパート横に車が止まっていて。
「お、いるわ。」
「北やん、遅いよ〜。どんだけ王子を待たせるんだよ〜。」
そう言いながら車から降りてきた彼は、早朝とは思えないくらいの爽やかな笑顔をしている。
そして私に気づくとにっこり笑いながら会釈をしてくれた。
「北やんが女の子といるなんて珍しいね。なんだよぉ、言ってくれればいくらでも待ったのに〜。」
「この子はお隣さん。助けてくれた話したじゃん?」
「あぁー、あのトマトちゃん?」
「そうそう、トマトちゃん。」
そうそうって。
私、トマトちゃんなんて呼ばれてるの?
「どうもー、北やんの後輩の宮田でーす。はははっ。」
後輩だと言う宮田さんは、北山さんとはまた違うニコニコと優しい笑顔の似合う人だった。
「初めまして、北山さんの隣人の村瀬です。」
「みやっち、朝から、うぜぇ。テンション高いわ。」
「なんだよ〜、毎日送迎してやってんのに。」
「なんだよっ、みやっちが “ 俺が店長の足になりやす!” とか言ってちょけてきたんじゃん。」
「あれ、そうだっけー?」
「ふっ……ふふふっ。」
ふたりの会話を聞いていると、とてもいい関係性だなぁって思う。
「あの、北山さん。可愛くしてくれて本当にありがとうございました!そろそろ行ってきますね。」
「おう、気をつけてな。」
「トマトちゃん、またね〜!」
北山さんと宮田さんのふたりに見送られながら、ウキウキ歩きだした。
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作者名:ミツ葉(にかみつば) | 作成日時:2022年5月20日 5時