0日目54 ページ7
「別にいんじゃねーの二人のが見落としもないだろうし、どーせお二人さん村人陣営だろ?誰か研磨が一緒に確認すると不都合ってやついる?」
先程会議をしていた最中もプリン頭の彼と親しい様子を見せていたトサカのような奇妙な髪型の生徒が口を挟む。聞いていた誰もが同じ意見なのかどうか判断はできないが、ちょっとでも突っ込めば疑われそうな空気の中特に反対意見を押し出す者はいなかった。
「よし、それじゃ始めちゃってどーぞ」
閉じた目の代わりに聴覚情報からやはりトサカの彼が確認役の二人に合図を出し、二人分の足音が動き出したのが分かる。前回と異なり川西は手をグーの形にしたまま後ろに出すこともなかった。先程よりも心なし短い時間で終了の合図が聞こえ、閉じていた瞼を開く。残りの時間は一時間を切っており、その事を気にしているのか澤村はサクサク話を勧めた。
「みんな、協力ありがとう。占い師COをしたのは木兎と赤木の二人だった」
またも空間をざわめきが支配する。どちらも川西は接点がなく人となりをよく知らない、その上先程の月島陣営と澤村陣営のようにわかりやすく結果が別れてもいない、故に彼からすればどちらが本物であるのかこの時点では点で目星がつかなかった。当の本人たちを見れば、ほぼ縁の端と端に位置しており、声こそ発さないものの互いを敵と認識しているため睨み合いが勃発していた。
「いやいや、木兎は嘘つかねーだろてかつけねーだろ、そんな頭こいつに無いって!」
最初に言葉を発したのは本人たちではなく僕との隣にいた金髪のチームメイトらしき生徒であった。彼のその言葉は話そうとして話したというよりは反射的に出てきてしまったものらしく、みんなの視線が一斉に向けられるとあ、やべ、と呟いて慌てて口をつぐんだ。
「なんだと!俺だって嘘くらいつけらぁ!」
「ええ、うちの木兎さんはこういう方です、皆さん念頭に置いていただければと」
木葉の遠回しな頭悪い発言にすぐさま文句を返す木兎、その言い分は今発するには彼にとって都合の悪いものだということを、彼は理解していないようであった。そのことを解説するかのように後輩の赤葦がすかさず皆に向けて解説を入れる。
「うーん、これは……」
「正直、印象に全部持ってかれそう」
この中で一番村人色が濃厚な二人が揃って頭を抱える、彼らも梟谷のメンバーほどではないが木兎の単細胞もかくやとばかりの性格を知っている生徒であった。
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作者名:世界の真ん中で | 作成日時:2023年5月18日 12時